INSPi(インスピ)磨きあげられたハーモニーを聞いて【インタビュー】

SPECIAL INTERVIEW

 人気アカペラグループのINSPi(インスピ)がノリノリだ。今年、メジャーデビュー15周年のアニバーサリーイヤーを迎え、「自分たちがやりたいこと」をリミッターをかけずにやっている。12月には、その集大成ともいえる15周年記念ライブを開催。「ライブが大好き、ライブのためだと思えば楽しめる」と言い切る彼らは、どんなステージで楽しませてくれるのか。メンバーの北剛彦、杉田篤史、渡邊崇文に聞いた。

撮影・神谷渚

 今年のINSPiは、いつも以上に“止まらない”印象だ。制作にライブ、そのための準備と、メンバーそれぞれが前のめり。グループ外での個人活動も精力的だ。

杉田篤史(以下、杉田)「忙しい…それはそうだけれども、世の中、大人はみんな忙しいでしょ(笑)。ライブに来てくれるお客さんも、仕事があって、家のこともあるけど僕らのライブを楽しみにして毎日過ごしている。僕らも同じです」

北剛彦(以下、北)「ずっと動いていられるのは、メンバーそれぞれが特定の分野を分担して動いていることが影響しているんじゃないかって思います。例えば、大倉(智之)はウェブ、渡邊はデザインで……」

渡邊崇文(以下、渡邊)「グッズ作ったりしてます」

北「僕はグループ内マネジャー(笑)。いろいろ調整したり、諸々の案件の窓口を担っています。こういう分担は決めたわけではなくて、それぞれが得意分野をやっていったら、こうなったっていうだけなんですけど」

渡邊「15年やっていれば、それぞれの得意なことが分かってきます。これをあいつに頼んでも無駄だなっていう場合もありますし(笑)。それで今のようなスタイルになってきました」
北「この15年、スタッフさんやいろんな人に助けてもらって、ある程度まではメンバーだけでできるようになって。一つのチームとして成熟したのかな」

杉田「それより……ザ・DIY(Do It Yourself)グループだと思う(笑)」

 今年はメジャーデビューを果たしてから15周年のアニバーサリーイヤー。年頭にはシングル『エンターテイナー』を発表し、全国ツアー「【本気でやってみた】ノリノリ伝説ツアー【Acappella】」をはじめにたくさんのステージでハーモニーを響かせた。動画サイト『YouTube』で発信する本気カバーシリーズも相変わらずの大人気で、INSPiはノリノリだ。

 このノリノリ感はツアータイトルに限ったことではない。

杉田「夏のノリノリ伝説は会場はスタンディングで全編アカペラのライブでした。お客さんを煽って、みんなでタオルを振りまわして、すごく楽しかったなあ……グッズのタオルも好評だったし(笑)」

北「(笑)……あ、その前までは楽しめてなかったってことじゃないですよ!」

杉田「いつも一番直近のライブが一番楽しかったってなっちゃいますからね」

渡邊「それはそうだ!(笑)」

北「ただ、あのライブは、僕らのこう楽しみたいっていう気持ちとお客さんの気持ちが合致した、同じ気持ちになれたっていうのかな……そういう感じでね」

杉田「メンバーが生き生きしていたって感想をいただきました(笑)」

 そのノリノリ具合の原因はどこから?

杉田「自分たちがやりたいことをやろうって、当たり前のことですがINSPiを始めた頃の気持ち、原点回帰の気持ちで活動しているから、それが伝わっているんだと思います。今そうなってるのは、やっぱり奥村(伸二)の病気があったからだと思います。それまでにも(原点回帰の)タイミングやきっかけはあったと思うんですけど、奥村のことは自分も動揺したし、やりたいことやらなくてどうするって気持ちはみんなに広がっていったと思うんです」

 自分たちがやりたいことをやり、たくさんの人に伝えたい。何かを表現するならそのほとんどが共有する気持ちだ。INSPiは今、そこに立ち戻り、改めて自分たちの考えるカッコよさを突き詰める。

杉田「アカペラグループっていろいろいます。似た声を持つ人が集まったグループ、低音が魅力のグループ、僕らはいろんな声が集まっているのが特徴だと思う。メンバーそれぞれがトガった声で、それがハーモニーを作っている。これって今の時代に通じる気がするんです。いろいろトガッてる人が集まって意見を言い合って物事を進めたり、良き方向へと導く。ハーモニーを作っていく。僕らはそれを伝えられるんじゃないかな」

 ハーモニーを作る心地よさ、12月のライブで堪能しよう。

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