横澤大輔「分散化した価値観やレガシーを再びどのようにまとめていくか」【BEYOND 2020 NEXT FORUM】



一木:横澤さんは、どういうときにアイデアがひらめくんですか?

横澤:どこか遠いものにあるものを、一つにまとめるとき。サブカルチャーの地点から見た政治はとても遠く感じます。だけど、この二つをうまく組み合わせることができたら、きっと面白いものになるだろうなって思うんです。すると、アイデアがわいてくる(笑)。

一木:実際に「ニコニコ生放送」では、政治家が出演し、大きな反響を呼んだ(笑)。

横澤:そうなんですよ。マッチングの妙がハマると、大きな効果を生み出します。一つの事柄から離れたところにあるものを融合させると、思わぬ化学反応が起きる。僕は、そういったことをするのが好きなので、繋がりづらいと思われがちなものを繋げていきたい。先述したように、分散化しているからこそ、マッチングをする機会も増えると思っています。

一木:平成という一つの時代が終わろうとしている。横澤さんにとって、この31年間でユーザーや消費者は、どのように変化したと思いますか?

横澤:単に、コンテンツを共有して楽しむ時代から、 コンテンツを通じて人と繋がることができる、繋がりを求める時代に変わったのではないかと思いますね。平成以前は、あこがれの人がいても、“見る”“応援する”といったような直線的な関係に終始した。ところが、ネットをはじめ、さまざまなコンテンツが登場するようになり、“会う”であるとか、影響されて自分も“作る”、“発信する”という立体的な関係性にシフトしました。2020年以降は、そこを踏まえつつ、新しいユーザー体験が求められると思います。

一木:なるほど。自分の趣味や「好き」に対するとらえ方が変わっていったからこそ、分散化していったとも言える。

横澤:そうだと思います。そもそも今の時代は、何をもってしてメインカルチャー、サブカルチャーと呼ぶのかも分からない。ここにも境界線がなくなりつつある。「あの人ってオタクだよね」という言葉は、誉め言葉でもあるわけですよね。

“好きを突き詰めることができる人”と“隣の人が良いと賛同するから好きって言える人”がいるように、いろいろな「好き」が存在する状況下を、既存の言葉でくくることは限界がある。でも、そういった分散した価値観同士がともに楽しめたり、意見交換ができたりする場は必要だと思うんですね。

散らばったものがまとまっていく過程の中で生まれる文化に対して、どうコンテンツを作っていくか。それを考えていきたいですね。