【インタビュー】柳楽優弥×川栄李奈 映画『泣くな赤鬼』2度目の夫婦役は“強い絆”で運命を乗り越える!

柳楽優弥:ヘアメイク・佐鳥麻子、スタイリスト・池田尚輝、衣装協力 ・オールドジョー フラッグシップストア、撮影・上岸卓史

“赤鬼先生”役・堤真一の存在感!



 堤真一の存在は、演じた赤鬼先生とはまた違うリーダーシップで現場に熱をもたらしたもよう。

柳楽「兼重監督の現場の作り方もあると思うんですけど、俳優たちの頭に堤さんがいてくださったというのは大きかったと思います。球児役の若いキャストも大勢いる中で、みんなを食事に誘ってくださったり、緊張し過ぎない空気感を作ってくださっていましたし、それを堤さんご自身も楽しんでいるという感じが、とてもいい現場の雰囲気を生んでいました」

川栄「私は堤さんの、すごくサバサバした感じが好きです(笑)」

柳楽「病院で再会する場面を撮っていたとき、何かの話で大笑いしたよね。堤さんはたわいない話でも引き出しが半端なくて(笑)」

 そんな堤と柳楽による、赤鬼先生とゴルゴの思いが通じ合うクライマックスシーンは、涙無くして見守ることができない名場面となった。堤いわく“自分の出演作を見て泣いたのは初めて”とのこと。

川栄「堤さんが演じている赤鬼先生は一見、怖いんですけどすごく人間味があって、クライマックスのシーンで見せる姿には本当に心が揺さぶられました」

柳楽「やっぱりあの場面はクライマックスということもあって、現場もすごい緊張感がありました。現場のスタッフさんが静かな声で話し始めたり、道具を運ぶ時に音を立てないようにし始めて、現場がちょっとずつ緊張していくんです。そんな中で、堤さんとのお芝居が始まったんですけど、実は台本には堤さんが泣くという指示は無かったんです。あの堤さんの演技はあの場での即興だったんです。現場で生まれるものがあるというのは、やっぱりいい空気感だったんだな、と思います」

川栄「あのシーンのOKが出た後もいくつか細かいカットを撮っていて私はそれを見守っていたんですけど、監督ふくめ全員が泣いていました」

柳楽「あの場面はやっぱり、そうなりますよね。今回は“順撮り”で物語の流れ通りに撮っていたこともあって、演じている僕らも本当にゴルゴと先生の気持ちになっていました」

柳楽、川栄が語る“心の師”



川栄「私にとってはAKB48の中が学校のようなものだったので、そういう意味では私の“心の師”は横山由依さんになりますね。いろいろなことを一番私に教えてくれたのが横山さんだったんです。以前から慕っているのでその気持ちは常に口にしていて“私は横山さんに育てられた”と、よく言っています(笑)。私はけっこう適当というか面倒なことを極力したくないと思ってしまうんですけど、彼女は責任感が強すぎるところがあって、ときどき考え込んでしまうタイプなので、そういうときは私のほうが“もうちょっと楽にしていいと思うよ!”ってアドバイスしていました(笑)。でも本当に横山さんがそばにいてくれたおかげで、いろいろなことをちゃんと自分でやれるようになったと思っています」

柳楽「僕の俳優人生のなかで師というと…先生というより生みの親という感じですけど、やっぱりまずは、僕のデビュー作を監督された是枝裕和さん。生みの親が是枝さんなら、育ての親は蜷川幸雄さんや李相日監督かな。本当に素晴らしい師に巡り合えたことはラッキーだと思っています。皆さん、すごく怖いですけどね(笑)。一番怖いのは李監督かな。撮影で“死ぬのかな”と思ったこともありましたし(笑)。ただやっぱり皆さん、愛があったうえでのことなのでどんなに怖くても納得できる。俳優としては、監督に変に優しくされすぎても違う意味で怖いですから(笑)。それに僕が恩師と慕う方は皆さん、厳しいけどすごく人望があって、人としてすごくモテるんです。ああなりたいなと思いますね」

 再会した赤鬼先生から“大人になったな”と声をかけられたゴルゴの照れくささとうれしさは2人も共感できるのでは。

川栄「AKB48時代にお世話になったカメラマンさんや録音の方などに、卒業してからの現場で再会して、同じ作品でお仕事をさせていただけたりすると、すごくうれしいんです」

柳楽「分かります。兼重監督は、もともと是枝監督のチーフ助監督として活動されていた方なので、僕も今回、是枝監督の弟子である兼重監督と一緒に仕事ができたことが、すごくうれしいんですよ」

川栄「以前にお世話になった方に自分の成長を少しは見せられると、本当にうれしいですよね」

柳楽「それに、作品にしっかり挑み続けることによって俳優として活動できている姿を遠くからでも見ていてくださっているだろうし、きっと喜んでくださっているとも思うから、またご一緒できるときまでもっと頑張ろうと思うし。でも先日、李監督と食事したんですけど“お前、変わらないな”と言われました。僕はちょっとまだ大人になれていないのかもしれない(笑)」

 そして柳楽と川栄にも3度目の“夫婦”の再会があるかも?

柳楽「どうしよう、離婚後の元夫婦役とかが来たら…(笑)」

川栄「ハッピーエンドがいいです!」

柳楽「そうですよね。また今後、夫婦役があれば次こそはちゃんと幸せにしたいです(笑)」

 涙の後に、きっと希望を見つけられる作品。

川栄「私は、こういう人間味あふれる映画がけっこう好きなんです。自分も体育会系だったので、スポーツを通じた友情とか、先生と生徒の絆とか好きなんですよね。本作は、感動したのはもちろん、人って弱さもあれば強さもあるんだということを描いていて、そこが素敵だなと思いました」

柳楽「原作も素晴らしい作品ですしね。野球を通して絆を深め合う姿や、本気で生きる姿を描いていて、カッコ悪いように見えて、カッコいい。楽しみにしていてくださいと自信を持って言える作品です」

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)


 ©2019「泣くな赤鬼」製作委員会
『泣くな赤鬼』
監督:兼重淳 出演:堤真一、柳楽優弥、川栄李奈、竜星涼 他/1時間51分/KADOKAWA配給/6月14日(金)より全国公開 
『泣くな赤鬼』公式サイト… https://akaoni-movie.jp/
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