斎藤工、監督最新作で“日本のコンプライアンス”に挑む!「ただの上映にはならないと思う」



 イベントでは、公開を控える長編『MANRIKI』のメイキング映像や、映画祭のための短編作品を上映。5人はメイキング映像を見ながら撮影時のエピソードなどを紹介。音楽も担当した金子は「音楽作りに関しては僕はフットワークは軽いので。清水監督に編集室に入れてもらいその場で作業をしたり、撮影現場の控え室でも作っていました」と振り返った。また、CGではなく実際にレーザーをライティングを使ったシーンなど、見どころも紹介。永野は「最終的には4DXで見てほしいくらい」と出来栄えに自信を見せたが斎藤らが口々に「この映画だとにおいとか痛みまで再現されたら不快でしかない(笑)」と疑問符をつけた。最後に斎藤は「正直に言ってできあがってしまった長編の『MANRIKI』をどう展開したらいいのか。魔物を生み出してしまった、でも天使でもあると思う。この子、どうしようという僕らのキャパ以上のものができたと自負しています。海外の映画祭でも上映できればと考えています。この作品で何かを感じてしまったら共犯者となって一緒に盛り上げてほしい」とアピールした。


 また、この日はチームMANRIKIの新プロジェクトにして斎藤の監督最新作『コンプライアンス』の製作も発表。ティザームービーを上映した斎藤は「従来の映画作りとはちょっと違って、ほとんどが僕の携帯で撮ったものを使っています」と明かし、作品のテーマについて「報道の自由ランキングは世界で67位という、今の日本のコンプライアンスの厳しさ、それに対して表現の自由や不自由をただ単に非難するというのではなく、モザイクアートというかスネークマンショーのような、言葉を入れ替えれば表現できるぞ、みたいな(コンプライアンスの)フチで何かを作れないかな、とおもいました」と語った。アートや音楽など各ジャンルの多彩なアーティストも参加するとのことで「ただの上映にはならないんじゃないかな。ちょっと変わったことをやりたいと思っている」と語ると、清水監督も「(斎藤は)すごく変わっているけど、よくよく話を聞くと真っ当なことを言っているんですよね」と背中を押した。

 斎藤は「映画は“今この地域、この国はこうですよ”という報告会のようなものでもあると思う。今、日本におけるリアルな座標を示すのは、コンプライアンスではないかと。それをネガティブではなくポジティブにというか、シニカルな視点を持って見つめると今の日本の現状が見えてくるのではないかと思う」と、新プロジェクトへの意気込みを語った。

「SSFF & ASIA 2019」は6月16日まで開催中。
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