【インタビュー】橘ケンチ「魍魎の匣」に「いい予感」 21日の開幕に向け“修行”の日々



舞台は改めて恥をかかなければいけない場所。それも、公開で


――アーティスト活動をはじめ、さまざまな活動をされています。そのなかで、ケンチさんにとって「舞台」というのはどういう場所なのですか?

舞台って修行、部活みたいなところがありますね。稽古の時間は長くて毎日あるし、稽古でさんざんやってから本番。体調的なことをいつも気にします。崩すとずるずるいっちゃいますから。喉もケアしなきゃいけないし……ライブよりも大変なこともあります。

――それでも舞台にトライし続けるには、何らかの意味がありそうですね。

好きですし、毎回挑戦があり、得られるものもたくさんあるんです。他の出演者さんやスタッフさんと同じ方向を向いて、1~2カ月、高みを目指していく感じが好きなんですよ、自分が。そのうえ、それをお客さんの前に出した時に、お客さんも一緒に同じ方向を向いていける。あの感じって舞台ならではだと思うんです。

――EXILEやTHE SECONDで感じるものとは違いますか?

メンバーの場合はみんながどういうものが好きか分かったうえでやってるのもありますからね。舞台は毎回新しいキャストだし座組。そのなかで関係を作りながら作品も作っていくから、やることがいっぱいあるんです。自動的に稽古から本番の2カ月はかなり濃密な期間で、その濃さは舞台特有だと思います。

――先ほど舞台は修行とおっしゃいましたが体調や体力といった部分だけでなく、「修行」だと感じたエピソードはありますか?

『熱海殺人事件 Battle Royal』(2014年)の時のことなんですが、稽古でできていたことが紀伊國屋ホールにいってリハーサルをやったときに全然できなかったんです。早口でまくし立てる役で、本番を想定した感情ができてなかったんだと思うんですが、劇場に立ったら急に緊張してきて……。あの時は死ぬかと思いました。ただあれで、ひとつ何かを超えられた感じもあるんですよ。それで、思っている以上に自分を追い込まなければいけないと。舞台は、改めて恥をかかなければいけない場所だと思います。それも、公開で(笑)。ただ、やっていくと、自分の表現者としての感性は磨かれていくと思います。表現して何かを人に伝えたいと思うんだったら、たぶん自分を一回丸裸にしていかなければいけない。舞台ってそういう作業が多いと思います。でもまあ、無理やり恥かこうとは思わないですけどね(笑)。