橘ケンチ主演舞台『魍魎の匣』が開幕!「記憶と心の奥底にズシリと刺さる作品を」



 ある女子高生の失踪、次々に発見されるバラバラ死体、不思議な研究施設、絡み合う人間関係と事件――。橘演じる京極堂こと中禅寺秋彦は、情報をていねいに積み重ねて、少しずつ真相に近づいていく。ステージ上は至ってシンプルで、いろいろな箱が運び込まれたり、袖に消えたりしながら、物語が展開していく。

 橘演じる京極堂には、大きなアクションはなく、座ったり、立ったり、歩いたり。あごやほおに手をやりながら深く考え、流れるように言葉を吐いた。いずれの姿も優美。彼の周りだけ時間がゆっくりと流れているようだった。それだけに、京極堂にも、舞台全体においても動きのある後半は、よりドラマティックでよりエモーショナルで、ズシンときた。