【インタビュー】池田テツヒロ「これは自分たちの話」と初めて演出家だけの仕事を受ける


 現在は順風満帆に見える池田だが本人の中では“まだまだ”という気持ち?

「ええ。だからといって自分の願望をガンガン入れて演出するわけでは全くないけど、ここではちゃんと彼らを幸せにしてあげたいと思うんです」

 素材は演劇なのだが自分が何者にもなれないといった悩みなどを持っている人にはぐさっと刺さるところがありそう?

「今、ちょっとへこたれそうになっている人はたくさんいるんじゃないかと思うんです。こうすれば幸せになれる、ということは描けないけど、でもギリギリのところで踏ん張っていたり、夢を追っかけている姿は滑稽であり、でもそれは美しいよね、というところは描きたいかなと思います」

 登場人物を見ながらかつての仲間の顔が浮かぶようなことはある?

「具体的に誰の顔が、というのはなかったけど、全部が自分に当てはまる気がします。今だって、もうすぐ50歳だけど全然安泰ではないですし。この時代、どうやって生き残っていこうかと考えていますもん。フリーランスは恐ろしい(笑)。まあフリーランスでなくても大変な時代ですけどね」