【インタビュー】根本宗子×清 竜人 旗揚げ10周年に代表作『今、出来る、精一杯。』を音楽劇にリメイク


 安藤役だけだったら他の俳優に任せた可能性も?

 根本「安藤役を普通の俳優さんに頼むつもりがそもそもなかったんです。そして音楽劇にしたいというプランもあったので“他の人で”ということは考えていなかった。というか私は“この人とやりたい”と思ったら、断られた時のことを考えるのは良くないという考え方で、伝えることがいいことだと思っているタイプ(笑)。断られた時のことは取りあえず考えないで、とにかく“ご一緒したい”ということ、その熱意をを伝えてみようと思いました。それで今回竜人さんはお話をする機会をくださったので、そこで思いを伝えることができました。ただ、ずっとご一緒したいという気持ちはあったんです。でもこれという作品を自分の中で企画としてまとめられるまでは違うなって思っていて、今回それが頭の中でうまくまとまったということなんです」

 清さんは安藤という役については?

 清「安藤のように依存してそうに見えてました?」

 根本「いえ、依存しているようには見えなかったです(笑)。でも女性に優しいというイメージはありました。基本的に女性に優しそうな俳優さんのほうが私の台本には合っていると思っているからなんですけど」

 ミュージシャンが演劇の舞台に立つときに、毎回同じことを繰り返してやらないといけないことが苦痛だという人もいる。

 清「どうなんでしょう。本番を迎えてみないと分からないんですけど、すげえアドリブとか入れ始めるかもしれない(笑)」

 根本「そでから“やめて~”って書いたカンペを出したりして(笑)。でもアドリブと一言で言ってしまうとやりたい放題みたいなニュアンスが強いですけど、台本にあるキャラクターとご自身の人間像を重ねたうえで言っていい範囲みたいなものがあると思うんです。突拍子もないことを言い出す俳優さんもいますが、稽古を見ている限り、竜人さんはそういうことにはならないだろうなとは思っています。それに、アドリブが成立する範囲というか、言ったほうがいいときもあるので、昔みたいに“一語一句変えないでくれ”というのはなくなりました」