【インタビュー】小林直己 Netflix映画『アースクエイクバード』


 そんな小林も、禎司だったらどんなカメラを使いどんな写真を撮るのかを自ら考え、実際にカメラを扱うトレーニングも行い、さらに禎司の内面にも深く迫っていった。

「僕がダンスを踊るとき無意識に体が動くように、プロカメラマンの禎司なら、ピントを合わせシャッターを押しフィルムを巻く…といった動作を考えずともできるはずですから、それなりのトレーニングは必要でした。映画の中で禎司の写真が映る場面があるんですが、実際に僕が撮った写真も使ってもらっているんです。ウォッシュにも“禎司が撮った写真”と感じてもらったんだなと、すごくうれしかったです」

 禎司のまなざしをとらえることができたのも、その人物像に迫ることができたから。

「僕は芝居に“メソッドアクティング”の手法を用いているんですが、その手法では自分の過去の記憶や経験、感覚を使い、演じる人物の感情に生かしていくので、ときには自分が思い出したくも無いようなことにも向き合うことになる。今回、禎司を演じるために、彼の出身地の鹿児島にも行きました。彼は何を見て何を思いながら育ったのかを考えるうちに、僕自身も過去のことを思い出すんですよね。でもそうやって向き合ったことで、僕が人知れずこれまで抱えてきたものが昇華された感覚があったんです。それは、この役を演じることによってしか得られないものだったんじゃないかな」

※後編は12月24日公開(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)
Netflix映画『アースクエイクバード』
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド 出演:アリシア・ヴィキャンデル、ライリー・キーオ、小林直己/1時間46分/Netflix にて配信中
https://www.netflix.com/jp/title/80244457

【STORY】1980年代の東京で、日本人写真家と恋に落ちた外国人女性。だが、やがて彼女は三角関係に心乱され、行方不明だった友人殺しの容疑までかけられる。
<<< 1 2 3 4 5