水原希子が語る、アジア7カ国を旅して消えた“不安”と見つけた“柔軟さ”

撮影・蔦野裕
 歩りえこ氏の著書「ブラを捨て旅に出よう」にある実話エピソードをベースにした最低限のストーリーは用意されていたというが…。

「一応、筋書きがあって物語の流れも決まっているのですが、その通りに行くかどうかは、その場にならないと分からず、まさに半分ドラマ、半分ドキュメンタリーを撮っている感覚でした。というのも、共演した方のほとんどがプロの役者さんではなく、現地にお住まいのごく普通の方々なんです。私は普段、映画やドラマの撮影にはセリフをしっかり入れて行くんですが、今回は台本通りにはいかないだろうという覚悟はしていました。でも実際、現地の方とのやりとりでは思いもよらない化学反応が起きたりして、役者さんとのお芝居とはまた違う面白さがありました」

 現地で暮らす普通の人に参加してもらうとなると、予想外の出来事も多々あったのでは?

「無数にあります(笑)。でもほとんどがポジティブなものでした。例えば第1話の成都で登場するタクシーの運転手さんは、本当の運転手さんで、言葉が通じず勘違いしたままやり取りが進んでいく、という設定をすぐ理解してくれて、すごく楽しんで参加してくれました。しかもすごく自然なお芝居で(笑)。他の国でも、皆さんがそんな感じで、楽しみながら参加してくれて、見事なお芝居をしてくださって。おかげで私もリアルな反応を引き出していただきました」

 しかも、水原自身が彼らと直接コミュニケーションをとり演技について説明したという。

「私がそんな役目も務めることになるというのも予想外でした(笑)。現地に行って気づいたんです。ウチのスタッフ、誰も英語はなせないじゃん!って。相手も英語のネイティブではないので、結局、私がボディーランゲージを交えつつ簡単な英語で“私がこう言ったらあなたはこう言ってね”といった感じでお芝居の段取りを伝えていきました。そうしながら私自身、どう伝えたら相手にも面白いと思ってもらい、楽しんで参加していただけるかを考えながらコミュニケーションをとるようになり、単に出演者というより、一緒に作品を作っている感じになっていました。そもそも本当にスタッフが少ないので、録音や撮影もそのときできる人がやるといった感じで、ハンドメイドな現場でした」