大迫傑が日本新で4位!五輪代表へと大きく前進 東京マラソン2020

優勝したビルハヌ・レゲセ(エチオピア) 写真:ロイター/アフロ
 ゴール前の直線に入った大迫は、大きく手をあげて笑顔を見せた。自らが持つ日本記録の更新が確実となり、何度もガッツポーズ。凄みのある表情でゴールテープを切った。

 「自分のぺースでしっかり走れればいい」。2日前の記者会見で言ったままのレースだった。

 大迫は20キロを過ぎてトップ集団から遅れ始めたものの、自身のペースでしっかりと走り、30キロを過ぎたあたりから盛り返した。32キロ地点で井上大仁を含む前の集団に追いつくとペースをあげて集団を引き離しにかかった。37キロのあたりでユニフォームをめくりあげて脇腹を抑えるシーンもあったが、4位でゴールテープを切った。

 レース後、ゴール時の心境を聞かれた大迫は「9月に(MGCで)3番になってから、非常に苦しい戦いだったんですけど……」。流れ出る涙を隠すようにユニフォームで顔を拭うと、「しっかり走れて良かった」と涙声だった。

 レース中は、細かくタイムを確認しながら走る様子が目立った。一緒に走る選手との戦いはいうまでもないが、何よりも自分と向き合ってレースをしているようにみえた。トップ集団にいる時も、後方で走っていた。そのことについて聞かれると「自分のキャパシティーを超えないようにできるだけついていこうという感じだった。先頭に行ってしまうとペースのアップダウンが激しかったりで、後ろで様子を見ながら走っていました」。

 一時集団から離れた場面もあったが、「20キロ21キロ過ぎで、もうだめかなと思ったんですが、自分のペースで刻んでいければと信じて走っていました」。30キロ過ぎからは攻めに転じた。「25ー30キロぐらいで自分のペースで休めたので、その調整がうまくいったかなと思います」と、大迫。

 記録更新を意識したのは38キロぐらい。ゴール前最後の直線に入ると「記録も切れると分かったし、後ろに日本人選手もいないと分かった。最高の直線でした」と、振りかえった。

「山あり谷ありというか焦ったシーンもあった(レースだった)が、結果として日本記録。まだ代表内定はしていないですけど、一番近い位置にポジションを取れたのは良かった」と、大迫。「後は待つだけなんですけど、自分自身はベストを尽くせた」と語った。

 五輪代表を決める「ファイナルチャレンジ」のラストレースのびわ湖毎日マラソン大会は8日に行われる。その結果次第で大迫の五輪代表が決定する。現時点では大迫が代表に一番近い。

女子で、圧倒的な記録で優勝した、ロナー・チェムタイ サルピーター(イスラエル) 写真:ロイター/アフロ
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