[インタビュー]のん 映画『星屑の町』6年ぶりの実写劇場映画でちょっとオトナなムード歌謡を熱唱


歌手を夢見て自分の才能を信じ続けるヒロインに共感


 歌手を夢見る田舎娘・愛は、地方巡業にやってきたハローナイツに熱心に自分を売り込み、メンバー入りを認められる。ボーカル天野真吾を失い行き詰っていたハローナイツだったが“愛ちゃん人気”で瞬く間に注目を集め、テレビ出演まで果たすほどに…。天真爛漫な魅力で自然と人を夢中にさせるヒロインぶりは、のん自身とも重なる。

「どうでしょうね(笑)。でも愛ちゃんを演じていてすごく楽しかったです。怒るときは思い切り怒って、悩むときは思い切り悩んで。感情をあらわにすることを躊躇しない子なので、演じていても気持ちが良くて、すがすがしいと思っていました。何より、夢敗れてもへこたれず自分の才能を信じて疑わない姿、何があっても自分自身は揺らがない、という姿には、とても共感しました」

 パワフルで天真爛漫、でも実は過去に、つらい挫折も味わっていた愛。

「挫折して、しおれてしまっているところから物語が始まるのではなく、挫折を経験しても折れていない姿で登場するというのが、すごくすてきだなと思います。落ち込んでいた時期もあったとは思うけど、それでも自分自身の才能を信じまくっている(笑)。自分の歌に、自信が満ちあふれているんですよね」

 その自信や情熱があふれる歌声は、もちろん、のんが実際に歌っているもの。『恋の季節』『ほんきかしら』『新宿の女』など、昭和世代なら必ず聞いたことのある昭和歌謡を歌い上げるのんの歌声と、そのキュートな姿は必見。

「あの時代のムード歌謡って、本当にかっこいいと改めて思いました。詩の世界観が大人っぽいので、深い人生観が込められているのを感じて奥深いなと思いますし、根底に流れる温かさも魅力的だと思います。そこに、愛ちゃんの挫折した気持ちなども重ねていくことができれば、と思いました」

 一度聞けば誰もが口ずさみたくなるが実際に歌うとなると、難易度高めの歌ばかり。

「『新宿の女』は原曲キーで歌ったんですが、最初は、これ大丈夫かなと思うくらい難しくて、先生にも、すごく頑張らないといけないですね、と言いながら必死で練習に打ち込みました。おかげで何とか、私なりの『新宿の女』になったのではないかな、という気がして、自分でもうれしい曲になりました。最初は、この曲たちを背負うのはかなり荷が重いなと思っていたんですけど(笑)。改めてじっくり聞いてみると、本当にいろいろなテクニックが使われているんです。『新宿の女』は藤圭子さんが歌う映像を何度も拝見しながら、ボイストレーニングの先生と一緒に“ここでこぶしをこう入れてきているね”といった感じで一緒に研究して、参考にさせていただきました。どういうふうに歌っているかを解明して、鍛えるべき部分のメニューを組んでいただいて、レコーディングまでの間に徹底的にやり込みました。役作りでこんなに苦労したのは初めて、というくらい頑張りました(笑)」

 ムード歌謡の世界観に合わせた、昭和レトロなファッションもチャーミング。劇中、愛&ハローナイツがミュージックビデオを撮影するシーンは、ミュージカル映画さながらの華やかさ。

「衣装が本当にかわいくて。ステージ映えするステキな衣装ばかりで、着ていても楽しかったです。衣装で楽しめるって大事なことだと思っているので。オリジナル曲の『シャボン玉』のMVを撮影しているシーンは、衣装もすごくかわいいし、振り付けもあって、みんなで一緒に撮影していてとても楽しかったです」