小池百合子「全会場が完成。ハードの準備からソフトの準備へ」【TOKYO 2020 COUNTDOWN】


今大会のレガシーは見えないレガシー。
見えないからこそ価値がある


 オリンピックは、大会自体はもちろんのこと、レガシーとして何を残すかというのも重要です。

「大会の興奮そのものが記録や記憶となってそれぞれの方々のレガシーになるでしょう。東京大会は今回が2度目ですが、前回大会のレガシーは首都高や新幹線といったインフラ系でした。それがその後の高度経済成長につながり、一方で大量生産、大量消費、大量廃棄の時代の流れになりました。私は今度の大会のレガシーは見えないレガシーになると常に申し上げております。例えば5Gのような、自動車ならぬ電波が走る道が整備される。私が長年取り組んでいる無電柱化もこれを契機に少しでも機運が高まれば、とも思っています。バリアがなくなることはバリアが見えなくなるわけです。そういう意味で今回のレガシーは見えないからこそ価値が高まると思っています。そして、ボランティア文化の定着もあります。今回は皆さんにご協力いただいて、大会期間中の交通、物流といった街の機能の確保、大会を成功させるための方策として、テレワーク、時差ビズ、TDMの3つを推進しています。この3つをまとめて“スムーズビズ”と呼んでいます。なかでもテレワークが定着することによって働き方が変わる方向に進めば、それは大きなレガシーになります。また環境先進都市としてアピールしていくためにも、例えば水素の活用などの先行的な事例を実装して世界に発信していきたいと考えています」

 最後に2020年の小池知事のプライベートの目標を聞かせてください。

「プライベートですか? ずっと挑戦が続いているので落ち着きたいです(笑)」
【Profile】小池百合子
1952(昭和27)年7月15日、兵庫県生まれ。1976年10月、カイロ大学文学部社会学科卒業。ニュースキャスターを経て政界へ転身。1992年の第16回参議院議員選挙で初当選。翌1993年、第40回衆議院議員総選挙で当選し衆議院議員に。2003年に環境大臣として初入閣。内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)を経て、2007年に女性初の防衛大臣となる。2010年には自民党では結党以来、女性初の総務会長に就任。2016年に東京都知事選に立候補し当選。女性初の都知事となる。
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