出版界の6次産業! 誌面の内容を体験化する シニア女性誌「ハルメク」、飛躍の理由

横浜の山下公園で行われた「草花散歩」イベント。楽しそう!
 こんな一例があるという。

「タイアップ企画だったのですが、ある輸入肉の生産団体さんから試食会を開けないかと相談を受けました。シニア女性は、まだまだ国産牛にこだわりがあるのですが、年齢が上がってくると霜降りよりも赤身の方が体に良く、栄養価も高い……それを知ってもらうきっかけを作りたいと。たしかに読者にとっても有意義な情報になるだろうから、私たちも協力することになり、試食会を開くことになったんですね。文化事業部がお付き合いのある素敵なレストランと組んで、そこのシェフがそのお肉を使って美味しい料理を作り、さらに音楽ライブも一緒に開催するイベントを告知したところ、キャンセル待ちが約100名発生するほど、ものすごい申し込みが殺到しました。少額ですが、お金もいただいているのに!」

 読者も、ハルメクも、生産団体も“三方よし”のイベントは、大盛況のうちに幕を閉じたという。広告主が出稿して終わり、それも何だか味気ない。その場にいる誰もが、目の前の光景に手ごたえを感じることができれば、満足度も信頼度も豊かになっていく。

「私たちもお仕事のやりがいをとても感じるんです」。そう山岡さんは朗笑する。メディアの発信する情報が、受け手にとって本当に有意義なものへとするために。ハルメクから教わることは多そうだ。


(取材と文・我妻弘崇)
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