マスクで酸欠や熱中症リスクも。夏のコロナ対策どうする?医学博士に聞いた

「新しい生活様式」では、マスク着用を推奨されているけれど…
夏のマスク着用、注意点は?

 つづいて、気になる夏のマスク事情。中国では、医療用マスクの着用で体育の授業中に中学生が酸欠で亡くなったとの報道もあり、夏の運動時や外出時のマスク着用には、注意が必要だ。新井博士は、「酸欠までひどくならなくとも、脳へ送られる酸素量が減る危険性があります」と指摘する。息苦しい、頭がぼーっとする、クラクラするなどの症状は、体内に二酸化炭素が増えた危険なサイン。残念ながら、人には酸欠自体を感じるセンサーはなく、「酸欠は急に襲ってくるので、定期的にマスクを外して、深呼吸するなどの対策が必要です」と新井博士は語る。

 また、マスク着用による熱中症のリスクにも注意を払いたい。新井博士によれば、人は、体温が上昇したとき、脳がそれを感知して、神経系を介して血管や筋肉、内分泌器官等に刺激をおくり、体温を平熱に保とうとする機能があるが、こうした恒常性維持機能がマスク着用によって低下する可能性があるという。マスク着用で口周りに湿気がこもって喉の渇きを感じづらくなったり、外す手間や近くの人への気遣いからマスクを取るのをためらったりすることで、水分を取らずに知らないうちに脱水が進むケースにつながる恐れもある。新井博士は「“のどが渇いた”と感じた時には遅いのです。定期的な給水以外に対策はないと思います」とアドバイス。自分自身はもちろん、自分では気づきづらい子供や高齢者などには、周りがこまめに気を配ると良さそうだ。