ブラサカ男子日本代表が活動再開。活動休止のコロナ禍で見えたもの

パラリンピック初出場で初メダルが期待されるブラインドサッカー。写真は昨年3月に行われた国際大会「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019」の様子(写真・内田和稔)
できるだけプレッシャー与えないように

 対面で話すことができない中、チーム内のコミュニケーションはどうだったか。高田監督は、コロナ禍で一番活躍したのは、メンタルと栄養管理だとした。メンタルコーチは選手たちに、今後の目標設定やモチベーションの維持、パラリンピアンとして出来ることなど、LINEや電話での雑談もまじえ言葉を交わし、メンタルを継続的にサポート。栄養管理では、選手や家族向けに管理栄養士が定期的にレシピの情報提供をするなどで体調管理を支えた。

 監督からの発信は、「とにかく安全第一で」。「サッカーのことは忘れていい。2、3ヶ月サッカーがなくても生きていける。コロナで亡くなった人はいるけど、サッカーがなくて亡くなった人はいないはず。再開した時に、サッカーがある有り難みがわかるような考え方をしよう」と、選手に前向きなメッセージを送っていた。五輪・パラリンピック代表選手の中には「代表選手」として過度なプレッシャーを感じる選手も多い中、「できるだけプレッシャーを与えることなく、ゆったりと過ごしてほしかった」と思いを語った。

改めて感じた「スポーツの価値」

 不要不急と言われることもあるスポーツ業界。感染の終息が見えず、思うように練習ができない中、高田監督自身が感じたこともあったようだ。「スポーツは最優先じゃない。それより大事なものは、生命であり、家族であり、そういう人たちと時間を過ごすこと。きっとスポーツの価値はこれから分かってくると思う。無観客でも観ることで喜びを感じるというか、我々もみんなが元気にプレーできることで、観ている方々に何かを感じてもらえるのではないか」と思いを語った。