【インタビュー】女子プロレスラーだけど、お菓子作りで人気沸騰中!世志琥「若い女性でホールを埋めてみたい」




リング上の自分と、普段の自分は別。女子レスラーとしての自己発信の大切さを実感


 もともとSNSは苦手だったというが、コロナでプロレスの試合がなくなったことをきっかけに、SNS上に料理動画を配信し始めたという。

「SNSは、なんとなく恥ずかしくてずっとがんばれていなくて。コロナでプロレスに向き合うのが難しくなった時に、SEAdLINNNGの広報でもあるあぃりDXちゃんが、私の趣味でもある料理で、発信活動してみようと言ってくれたことがきっかけでした。コロナでみんな外食もできない状況だったので、もともと得意な料理で、みんなにおうちごはんを楽しんでもらえたらと思ったんです。特にTiktokで自分を知ってくれた人が多かったですね」

 一方、所属団体のSEAdLINNNGのTikTokアカウントを見ると、世志琥がリング上で相手をのす動画も上がっている。細かい作業の多い、お菓子作りとしてもレベルが高そうな可愛らしいキャラスイーツをニコニコと作る姿とは、果てしないギャップを感じる。

「別にギャップを押し出そうとしたわけではないんですよ(笑)。やっぱりレスラーなんで、第一印象では怖いって言われることも多いけど……イベントでは自分が作った料理をお客さんに振る舞ったり、好きなアイドルのダンスを踊ったりしているので、ファンの方々は自分のこういう一面を理解してくれているんじゃないかな。

 動画でも、どやすような言葉を使ってはいますが、やっぱりプロレスラーだってことを知ってもらいたいから、動画を作る時も”レスラー感”が出るように、あえて気をつけています」

 動画では「作ってみろコノヤロー」など、レスラーらしい言葉使いが印象的だったが、実際の彼女はとても謙虚で、話し方も気遣いを感じるものだった。しかし、悪役レスラーという職業上どうしても「強そう」「怖そう」というイメージを持たれてしまいがちだというが、そういった誤認識に悩むことはなかったのだろうか。

「自分はリング上ではコスチュームも戦い方も、悪く、怖く見えるようには振る舞ってますから、怖いと思われる事自体はまあ、それで良いと思ってるんですよ。イメージだけで自分の人間性のことをとやかく言ってくる人もいるけど、そういう人ってプロレスを見たことがない人だと思うんで。プロレスの試合って、レスラー同士の信頼関係があってこそ成り立っているんです。悪役でもそうでなくても、それを理解しあってリング上だけで戦っています。動画やリング上では強い言葉を使いますが、リングから降りた私はそうじゃない」

 先月、同じく女子プロレス界で活躍していた、スターダム所属の木村花さんがこの世を去ってしまったというニュースも大きく取り上げられた。真偽は定かではないものの、ネットではSNSでの誹謗中傷が原因なのではないかと言われている。リング上での木村さんの強さを、彼女の心そのものの強さだと思いこんで冷たい言葉を投げかけた人もいるのかもしれない。

「あってはいけないことですよね。イメージだけでその人本人に心無い言葉をぶつけて。悲しいし、本当に悔しいです。

そういう意味では、プロレスラーという職業だからこそ、自己発信していくことの大事さということも実感しました。私たちはどうしてもリングの上での姿を見て、それだけでその人の人間性すべてを悪役だと決めつけられてしまうことがあるから。自分からそうでない一面を知ってもらおうとすることも大事ですよね。私はSNSを通して、多くの人にそういう本当の自分を知ってもらえたので」

 プロレスは激しい競技だが、そこにはしっかりと信頼関係があって行われている。そんな中の一瞬だけを切り取られて言われる誹謗中傷のことは気にしない、と彼女はおおらかに語ってくれた。