7年8カ月にわたる安倍政権。いったい何を残してくれたのか?

2017年。トランプ大統領とがっちり握手の安倍首相(写真:ロイター/アフロ)

モリカケ、桜を見る会問題のきちんとした説明は?


 これらの政策は首相の悲願であった「憲法改正」に向けての動きの一つであった。実際、2016年7月に行われた参議院選挙で改憲勢力が3分の2を超え、すでに衆議院も3分の2を超えていたため憲法改正が現実味を帯びていた。しかしその後も憲法審査会の議論は深まらず、改憲手続きを定める国民投票法改正案の審議も進まず…。

 審議が進まなかった理由としてはモリカケ問題や桜を見る会に関する問題で自らに降りかかった疑惑の説明に追われたという側面もある。

 この2つの問題についてはいまだに十分な説明がされてはいない。今回の辞任後も説明責任があるのは明白で、きちんとした説明が求められるところだ。

 在任中「地球儀を俯瞰する外交」を旗頭に実に今年1月まで81回の外遊をこなした。2016年には大統領選挙に勝利し、就任直前のトランプ氏といち早く会談を持ち、トランプ氏のハートをぎゅっとつかむなど、こういった事象をもって外交手腕を評価する向きもある。

 しかし実際のところ北朝鮮の拉致問題に進展は見られず、北方領土問題についてはロシアとの平和条約締結交渉の中で原則であった「4島返還」から「2島返還」に後退してしまった感もある。仲がいいはずのトランプ大統領からはリップサービスはもらうものの、在日米軍の駐留経費の負担の大幅増を要求されるなど、果たして外交でどれほどの成果があったのだろうかと思わされる。

 この日の辞任会見で安倍首相は「政治において最も重要なことは結果を出すこと」と言ったのだが、果たして7年8カ月に及んだ第2次安倍政権の「結果」とはいったいどのようなものだったのだろうか…。
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