そうめん研究家「ソーメン二郎」直伝!本当においしいそうめんとは?

 まだまだ残暑が厳しい今年は、そうめん熱も冷めやらない。日本で唯一のそうめん研究家、ソーメン二郎さんにおいしいそうめんのゆで方や食べ方、今後のそうめん事情を占ってもらった。
創作絵本の企画や読み聞かせも行うソーメン二郎さん(撮影:堀田真央人)
 ズバリ、そうめんのおいしいゆで方や食べ方について教えてください。

「そうめんは1把でだいたい19cmで50g、それに対し10倍の水を用意します。たとえば4把だと2リットルですね。少し大きめの鍋で水を沸騰させると対流が起こり、その流れに乗ってかき混ぜなくても麺がお湯の中で自然に回ります。対流している状態をキープすることで、麺がくっつき合うことなく均等に加熱されてゆでムラがなくなるんです。職人さんから聞いた裏技として、沸騰したお湯の中に梅干しをひと粒入れてもらうと、クエン酸の効果で小麦粉が引き締まって麺にコシが出ます。この方法でゆでると安価なそうめんもおいしくゆで上がりますよ。

 グルテンとでんぷんが化学変化して、コシの強さと甘みが出るのがちょうどいいゆで加減なので、表示時間を守ってゆでてほしいですね。差し水もNGで、湯温が下がると麺の表面が剥がれてしまいます。ゆで上がったらザルに上げて、水でしっかりもみ洗いして麺の表面についた油を落としてください。その後に氷水で締めてから水分を絞って、器に盛ったらおいしいそうめんのゆで上がりです。氷水を張った器に浸けっ放しというのを見かけますが、そうめんが水分を吸ってコシが台無しになってしまうのでやめましょう。

 めんつゆで食べるのに飽きてきたら薬味に大葉やバジルを加える、めんつゆにサバ缶やツナ缶を入れてごま油を少々たらす、めんつゆに豆乳とごま油をちょい足しする、などさまざまなアレンジができます。そうめん自体がさっぱりしているので油や辛み、ネバネバ系など、強めの味のものとの相性が抜群にいい。たくさんゆで過ぎた場合はお好み焼きの生地に混ぜたり、そのまま素揚げして塩をかけたりしてもおいしいです。封を開けた乾麺が余ってしまう場合は、タッパーウェアなど保存容器に入れ、冷蔵庫にしまっておけば一年くらいおいしく食べられますよ」

 そうめんと言えばお中元のイメージですが、どうしてそうめんが贈られるようになったのでしょうか。

「そうめんは白くて細くて長いのに、コシがあって切れないですよね。もともと天皇陛下への献上品ですが、こうした切れないところを転じて、ご縁が切れないようにという縁起ものでもあります。『ご縁が切れないように、私を思い出してくださいね』という意味で、一年の真ん中に贈るのがお中元。そうめんは白い糸に見立てられますがご縁をつなぐ赤い糸でもあって、人と人との間をつないでくれるコミュニケーションツールなんです。今年はなかなか人と会えない年ではありますが、お中元でなくても大切な人にはご縁が切れないようにぜひそうめんを贈ってください」
1 2 3>>>