“儲かる”畜産にするために。プレイヤーが増えれば、日本の家畜市場は盛り上がる

 畜産の豚を1kg太らせるために、3~5kgほどのエサが必要になることを知っているだろうか? 経営コストの60%以上を占める畜産飼料は、畜産の儲からない体質の要因となっているほど。現状を変えるべく株式会社コーンテックは、AIとIoTを導入することで大幅なコストカットに挑戦。畜産の未来を切り拓く。
株式会社コーンテック・吉角裕一朗代表取締役
「近い将来、畜産の肉が米や野菜のように、生活者にとって身近なものになってくれたらうれしい」

 そう話すのは、株式会社コーンテック代表取締役・吉角裕一朗さん。生産者の顔が見えやすく、トレーサビリティ(流通)が事細かに示されている米や野菜といった農業に比べると、肉類を生産する畜産業はイメージがわきづらいところがある。家庭菜園を通じて農業に触れる機会を得る人はいても、畜産に触れる機会はほとんどない。

 吉角さんは、“生産者にとっての畜産”と“生活者にとっての畜産”、双方のあり方を変えるべく挑戦する新時代の担い手だ。

 日本人の食生活は、ここ50年で欧米化が進み、食肉消費量は年々増加傾向にある。ところが、畜産は欠かすことができない重要な産業にもかかわらず、「儲からない」という。

「家畜が食べる“エサのコスト”が畜産事業の大きな負担となっています。特に、豚のエサ代は多く、経営コストの66%も占めています。エサのコスト高から経営状況の悪化を招き、後継者不足といった深刻な事態にまで発展しているほどです」(吉角さん、以下同)

 今現在も、畜産の飼料となるトウモロコシのほとんどは輸入によるものだ。だからこそ畜産農家は、あの手この手でコストを削減してきた背景を持つ。
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