『えんとつ町のプペル』の煙突は実在する?物語のモデル、渋谷のまちを歩く

映画に登場する「渋谷川」。渋谷再開発に伴って再生され、冬は遊歩道でイルミネーションも楽しめる。
 映画を観た人なら思わず納得してしまう、「川」のシーンも見どころだ。絵本では、ルビッチが父からもらった宝物を落としてしまう「ドブ川」として登場するが、映画ではより重要な意味を持って描かれる。長く暗いトンネルや、プペルの隠れる場所として登場するのは、渋谷再開発に伴って再生された二級河川「渋谷川」だ。かつてはほとんどが蓋をされている暗渠(あんきょ)だったため、あまり馴染みのない存在だが、2018年に開業した渋谷ストリームの広場からは代官山・恵比寿方面へ約600メートルにわたる遊歩道「渋谷リバーストリート」が伸びており、橋の上からは整備された渋谷川の姿をしっかり見ることができる。隠された存在だった「川」と誰にも相手にされなかったごみ人間「プペル」の織りなすシーンは、物語の核を成す大切なメッセージを伝えている。

 渋谷の歴史やディープな街並みを随所に散りばめることで、見たことのない渋谷の表情を豊かに映し出した『えんとつ町のプペル』。原作ファンはもちろん、かつて渋谷を訪れた全ての人に、触れてほしい作品だ。