「番外編 女性向け風俗店キャストへインタビュー」【36歳のLOVE&SEX】#4

 


 次に、今年の1月にデビューしたばかりの、新人キャスト・木崎凪さんにも話を聞いた。


―――このお仕事を始めたきっかけを教えてください。


 Twitterとかを通して、前々から女性向け風俗の仕事は知ってたんです。性生活を向上させることでより自分の生活を充実させていくっていうのは、価値があることだなって自分では思ってて。でも、男性向けの風俗はたくさんあるけど、女性向けの風俗ってまだそんなになくて、それで自分自身が誰かの癒しのために手伝えることがあるのではと思って、行きついたという感じです。


―――なるほど。ほかにもアルバイトとかされてたと思うんですが、この仕事をしてみて、他の仕事と違うなとか、ここは共通してるなと思う部分ってありますか?


 僕は飲食店でのアルバイト経験があるので、共通点でいえばサービス業であることは一緒なんですが、そこからいかにお客様に喜んでもらえるようなお仕事ができるかという、よりホスピタリティを充実させていくような考え方が女性向け風俗では大事なのかなって思いますね。


―――ホスピタリティとは?


 そうですね、端的にいえば思いやりなのかな。定められたことだけじゃなくて、その状況に応じて、お客様がほしいものを提供することができるかという。たとえば寒いときに温かいものを用意したりとか。そういうところが今までのバイトよりも、一人一人お客様によって対応が必要になるので、ホスピタリティが重要なのかなって思います。


―――働いてみて、自分の思ってた女性像とかに変化はありました?


 あんまり自分の中で、女性ってこういうものだっていうのがなくって。個人的にジェンダー関係のことを学んでるんですけど、あんまりそういうステレオタイプに縛られる必要はないなって思ってます。皆さんが自分自身の幸せのために、こうして性風俗店を利用したり、僕を選んでくれたっていうのがうれしいなって思いながら、お仕事のたびに人のやさしさに触れているって感じです。


 


 社会に触れて周りに感謝できるようになったという神楽木さん、性生活の向上について意欲的に考えるうちにこの仕事にたどり着いたという木崎さん、きっかけは違えども、二人からはポジティブに性風俗の仕事に向き合う姿勢を感じた。


 また改めて、彼らの世代では、性別を超えて互いに人として尊重し合う価値観が根付き始めているのを、彼らと話しているうちに実感した。


 今後、「女性向け」という冠が外れ、一人一人の性が尊重される時代に変わっていくと思う。


 女性向け風俗もいつの日か、利用者にとっても、働く側にとっても、選択肢のひとつとして自然なものになっているのかもしれない。



2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2013年に女性向けアダルトサイト「GIRL’S CH」を立ち上げ。以来、GIRL’S CHの現場リーダーとして、サイト運営・企画・広報に携わる。
現在は新規事業の立ち上げを担当。
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