演出家・黒田勇樹が語る 「コロナ禍での演劇と表現」

鳳蝶役の室将也(左)とレグルス役の西川音央

 昨年は舞台再開にあたり「出演者にもマスクを」という指針があった。「そんなバカな」という声も上がったが、今となっては日常を切り取るような作品を描くならむしろマスクはしていないとおかしいかもしれない。


「最近はテレビドラマの中での日常はマスクをしています。もうこうなるだろうなと思っています。コロナが終わってもファッションとして残るんじゃないかと思っているので、5年とかではなく永遠に続く可能性もある。これで小学校の1年生や2年生の時期を過ごした子供がいますから。だからマスクを取る瞬間みたいなものがドラマにできればいい。昔の漫画でよくあった、眼鏡を取ったら美人みたいな(笑)」


 出演者も多く、稽古場の感染症対策は大変。


「いつもは全員を呼んで“同じ話は2回したくない”と言って、そのシーンに出ていない人にも話を聞いてもらっているんですが、今回はシーンを分けてやらないといけないので、同じ話を何度もする覚悟でいます。5チームに分けるとしたら同じ話を5回しないといけない。そうするとタイムテーブルもきっちりしたものになると思うんですが、そうなると稽古で粘れなくなるんです」


 その中で今まで通りのクオリティーを保なければいけない演出家は大変。


「ですね。なので、今回の現場で僕の中では演出方法の産業革命を起こさないといけない。今までは役者がいれば1週間あれば面白い芝居なんていくらでもできると思っていたんですが、今までのように役者を呼べないのでいかに事前に計画を立てるか。計画が狂った時の対応も。どういう狂い方をするかは稽古が始まらないと分からないので、毎日、そこに充てる時間をいかに増やしていくか、といったことですね。これまでやっていた舞台に比べ客席数も予算も増えた中で、コロナ禍でこれまでと違う新たなやり方を考えなければいけない。せっかくなので、存分に味わおうと思っています」


 プロデューサーの期待が大きい。今までのやり方だったら期待に応えられるという自信もあっただろうが、産業革命中で、その期待に応えることはプレッシャーではない?


「僕はあらゆるお芝居を作るにあたって、これまでも毎朝、吐くぐらいプレッシャーを感じています。恥ずかしいくらいプレッシャーに弱いんです。本番前は手も震えているし心臓もばくばくしている。でもやるっきゃないし、やってうまくいかなかったときはない。やらなかった時はいつもうまくいかない。だからやるしかない。今回はプレッシャーはとてもあるが、それはコロナ禍の前に作ってきた演劇と変わらないです」


 ラノベが原作ということで、見る人を選びそうな作品と思われそうだが。


「僕はラノベ初心者なので、ちょっとこっ恥ずかしくて背中がかゆくなるような表現があるんですが、あれをみんなと共有できればと思っています。僕自身、ラノベは全く読まなかったのに、読んでいくうちに楽しみ方を覚えたらとても楽しかったので、僕を通じてこの作品に興味を持ってくれた方には“読んでみたいな”と思ってもらえるような楽しさの提示ができるように頑張ろうと思っています。また原作のファンの方には“そうそう。こういうところあるよね”と思ってもらえるような地点を目指したいと思っています。いや~、演出家のようなことを言うようになってしまいましたね(笑)」


(TOKYO HEADLINE・本吉英人)



『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』

【日時】3月24日(水)~28日(日)
【会場】新宿村LIVE(新宿)
【料金】全席指定 S席(前方6列。特典付き)7800円、A席6500円 ※当日券はともに+500円
【問い合わせ】info@thavman.biz〔HP〕 http://www.tobooks.jp/shirobuta-stage/
【原作】やしろ『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』
【脚本】沙川りさ
【演出】黒田勇樹
【出演】室将也、西川音央(Crimson Crat Clan)、岩田知樹。植田慎一郎、草場愛、石川凜果/神木彩良、斉藤ひかり 他
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