出版業界に切り込む映画『騙し絵の牙』吉田大八監督明かす「ウチの名前は伏せてと言われた」

吉田大八監督

 出版社や書店のリサーチを「スタッフと手分けしながら相当しました」と振り返った監督。「センシティブな部分に触れたみたいで“ウチの名前は伏せてほしい”と言われたこともありました(笑)」と明かしつつ、撮影協力に快く応じてくれたという書店や出版社についても語り「撮影では、文藝春秋に大変お世話になりました。すごく協力してくれて、やりたい放題やらせていただいた。原作を出版しているわけでもなく、何の得にもならないのに面白い会社だなと思いましたね」と笑いをさそった。


 さらに2人は“本”と“映画”の未来についても意見を交わした。「僕は松岡さんが演じた高野のほうに感情移入していました。ああいう人が出てこないと書店・出版業界はよくならない、これからはマーケティングを知る人がいないとだめなんだろうなと」と言う三浦氏に、吉田監督は「それこそ三浦さんは“リアル松岡茉優”では。松岡さんに怒られるかもしれないけど(笑)」と笑いを交えつつ「この映画を作りながら、町の本屋さんと、日本中の、地方で頑張っているミニシアターと重ねていました」。三浦氏は「日本のコンテンツ制作力は高いので世界戦になっても勝てると思う。ただしそれを戦略的に、どう戦うかを考えないといけない。その1つの結論を、この映画は描いていると思う」と本作に共感を寄せた。吉田監督は「映画館や本屋さんの“場所の力”は信じ続けたい」と言い、同時に「世界で戦うとなれば、配信と映画館とでよい循環が生まれる可能性もある。それを途切れさせないよう僕たちは作品を作り続けないといけないと思う。形は変わるかもしれないが概念としての映画は決して未来がないわけではない」と語った。


 映画『騙し絵の牙』は3月26日より公開。