佐藤二朗「山田孝之と僕を見て“ヨシヒコと仏”だと思う人は一人残らず…」監督作公開に意気込み

 

 主人公・得太(とくた)を演じた山田孝之が、オファーを一度断ったことを明かし「全力でいかないとできない役だと思った。もとは関西弁の役で、方言指導を受けながらこの役を演じるのは無理だと思ったんです」と語ると、佐藤監督は「“どうしても方言が…”と断られたんですが、その後で“これ標準語じゃダメですか”と言ってきてくれた。僕は山田孝之は日本最高級の俳優だと思っているので、彼が演じてくれるならと標準語に変更しました」と振り返った。

「低気圧のせいで」と、なぜかテンション低めの山田は、葛藤を抱えた主人公役に「ずっとつらかった。取材を受けていても、思い出したくもないししゃべりたくもなかった」と吐露。そんな山田に苦笑しつつ佐藤監督は、主人公が慟哭するシーンで「(撮影中以外も山田が)1日ずっと泣いていた。何度も共演しているがそんな山田孝之を見たのは初めてだった」と山田の憑依ぶりに圧倒された様子。山田は「一度スイッチを切ってしまうと絶対にできないと思った」と振り返った。

 架空の方言セリフを一字一句完璧に覚えて臨んだという坂井真紀や、舞台版から続投の今藤洋子、笹野鈴々音も、佐藤渾身の脚本を絶賛。佐藤監督も「韓国の映画祭で最優秀脚本賞を受賞したが、僕だけじゃなくみんなが何か賞をと思うほどすさまじい芝居をしている」とキャストをたたえた。

 終始“監督モード”だった佐藤だが最後に「僕と山田孝之を見て“ヨシヒコと仏”だと思う人は一人残らず、この映画を見やがれ、と思います」と笑いを交えアピールした。

『はるヲうるひと』は6月4日より公開。