“奴隷シリーズ”の女優・行平あい佳が体当たりで新境地!「元ロマンポルノ界人気女優の母にも見せたい作品」

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 なかでも、とくに行平が共感したサキの思いがあるという。

「サキは、スギちゃんは道端の石ころや草花ばかりを描いているけど、それが私にはすごくきれいに見えると言うんです。私も同じだと思いました。私も何かを作ったり絵を描いたり、それこそ映画を作ったりしている人が大好きで心から尊敬しています。自分の好きな作品が存在し続ける限り、何があってもその作り手の方のことを好きでいるだろうなと思えるくらい。映画では、2人の出会いや積み重ねた時間は語られてはいませんが、サキのその言葉から、ある種の信念のようなサキの思いが伝わってくる気がしました。そういう瞬間に人を好きになるよねと、すごく共感できました」

 今では絵を描くこともやめてしまったスギちゃん。それでもサキはファミレスで働いて家計を支えながらスギちゃんを懸命に介護する。しかし、スギちゃんはサキを愛することもままならず、サキに頼らないと生きていけない自分にいら立ち、2人の心はどんどんすれ違ってしまう。思い合っているのに距離が開いてしまう、2人の複雑な関係も難しい芝居となった。

「演じるうえでも、とても難しい問題だと思いました。まず介助のシーンでは、それこそ私のように実際に介護の経験のない人間が“介護ってこういうものだよね”と分かった気になって演じたら、目も当てられないことになると思いました。上っ面で押しつけがましく演じ、さも美徳を語っているように見えるのだけは避けたかったんです。そこは、スタッフの中に介護資格を持っている方がいて、現場で逐一確認しながら演じることができたのは本当に助かりました。また、2人の関係を表現するのも難しかったです。スギちゃんとサキが、単なる共依存の関係として伝わらないように、言動の奥にある複雑な感情を表現したいと思っていました」