株式会社チヨダ、靴専門店として会社の外と内で取り組むSDGs<できることからSDGs>

  SDGs(持続可能な開発目標)の達成が叫ばれる中でSDGsと自社の事業は切り離せないものになってきている。SHOE・PLAZAや東京靴流通センター、Chiyodaなどを展開する株式会社チヨダもまた自社の事業と組み合わせて目標達成のため活動している。SDGsを掲げ行動することは社内にも良い雰囲気が生まれているという。同社のマーケティング部長兼EC事業室長の安立邦広さんに聞く。

 創業は1936年、設立は1948年。株式会社チヨダは長い歴史のなかで時代や時勢に対応しながら、事業を展開している。

 SDGsが記載された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連サミットで採択されたのが2015年。それから5年超が経った。同社が、変化と変革、進化を続けながら事業展開をしていく中で、SDGsは重要な柱になっているという。世の中的にも「何らかの取り組みをしていることが当たり前という状況になっているのを感じます」と、安立さん。

 活動のポイントとなっているのは「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」といった社会課題。全国各地に約1000店舗を展開するだけに、地域に密着し、「靴専門店としての責任」を果たしながら、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。

 同社のSDGsを達成する活動は、東日本大震災での復興支援がきっかけになっているという。その後も、九州や、西日本など全国各地で毎年のように大きな災害が発生。「災害があった場合、それぞれの地方自治体の災害本部と直接連携して避難所で利用されるスリッパ、ボランティア活動をする方たちが使用できる長靴など、弊社は靴の会社ですから、靴を通じて支援を続けています」。実はこの活動、SDGsで考えてみると、11番の「住み続けられるまちづくりを」にあたる。

株式会社チヨダ マーケティング部長兼EC事業室長の安立邦広さん。サステナブル推進委員会を立ち上げてから水筒を購入して持ち歩いているそう。中味はお茶や水、冬場はコーヒーで、毎朝自分で準備をするという。「そういうタイプじゃなかったんですけどね」と、安立さん。また「社全体でSDGsの達成に取り組むようになって社内の雰囲気が良くなりました」と付け加えた

 SDGsへの注目が高まるなかで、2019年に社内に「サステナブル推進委員会」を設置した。さまざまな部署からサステナブルに高い関心を持つ10名、若い社員から役員まで幅広い年齢層のメンバーで構成。委員会では月に1回ミーティングを行い、今、業務を行っていて改善できる事を率直に話したり、企業として取り組むべきことについて検討しているという。

「以前はCSR室があり、私が室長として担当をしていました。ただ部署があると、その部署がやればいいという感じになってしまうところもあって、社全体で取り組むこととして広がりづらかった。まだSDGsが周知されておらず理解されにくい雰囲気でもありました。そういうなかで大きなきっかけになったのが、Jフロントリテイリンググループ(大丸松坂屋百貨店)のサステナビリティ方針発表会でした。取引先も含め、サプライチェーン全体でサステナブルな企業になっていくという内容で、そこまで進んでいる企業もあり、これが今後社会にとって当たり前になっていくということも肌で感じました。」

 レジ袋を環境に配慮した紙袋に変更し、靴の小売りの責任として靴の下取りからリサイクル事業、また、毎日のように届くお客様相談室に寄せられたお客様からのリアルな声から、地域の暮らしやすい環境づくりに貢献、持続可能な商品開発など、同社のSDGsへの取り組みは多岐にわたる。

 

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