岡田監督、MIYAVI、別所哲也…各界のスペシャリストが語るデジタルの“今”「デロイト デジタル ウィーク」

写真左より「子ども未来国連」について語る一木広治氏、中山泰秀氏、堀潤氏(撮影:蔦野裕)

2日目 MIYAVI「子どもたちの声をより大きく世界に届けるのが僕たち大人のミッション」

 2日目のセッション2「子ども未来国連とBEYOND2030の姿」はゲストに中山泰秀氏(防衛副大臣 兼 内閣府副大臣)、一木広治氏(株式会社ヘッドライン代表取締役、早稲田大学研究院客員教授)、堀潤氏(ジャーナリスト)を迎えて語り合った。

 内閣府の認証事業「BEYOND 2020 NEXT FORUM」の活動からスタートした「子ども未来国連」。3月に行われた第1回には23カ国から9〜12歳の子どもたちが参加、カードやレゴブロックを使ったグループワーク、「伝える」をテーマにプレゼンテーションを行った。当日、子どもたちに戦争を回避するアイデアを問いかけた中山氏は「大人になってぶつかってしまったら取り返しがつかない。ケンカを事前回避する能力を子どもたちに教えてあげたら、彼らが大人になるともっといいアイデアが生まれるのではないか」、堀氏は「大人はどうしても無理じゃないか、理想じゃないかと言いがちだが、一緒に何ができるのか考えて積み上げていく議論をしていくべき」と述べ、一木氏も「僕らが思っているより子どもたちは考えている」と同調した。

 さらに「子ども未来国連」コミュニケーションサポーターを務めるMIYAVI(アーティスト、UNHCR国連高等弁務官事務所親善大使)がビデオで登場。「世界中の子どもたちからたくさんのフレッシュで斬新なアイデアを聞くことができた。未来を創る、未来に生きていく子どもたちの声をより大きく世界に届けるのが僕たち大人のミッション。2025年にはSDGsをテーマとした万博が開催され、ここ東京、日本から自分たちの声を、何より子どもたちの声を大きくアンプリファイア(増幅)していくことが大事だなと思っています」とメッセージを寄せる。

 MIYAVIの言葉を受け、大人の役割について一木氏は「子どもたちの可能性を伸ばせる社会になるよう彼らの声を伝えていくこと。そのためにいろいろなジャンルの仲間を集め、もっと増やしていきたい」、堀氏は「たとえば『子ども未来国連』のような場を作るのは大人の責任で、そこで生まれたアイデアを実行に移す作業を短期間のうちにどんどん実行していきたい」、中山氏は「僕は国連の本部機能を日本の広島に作りたいと思っていて、それを作るまでは僕たちの仕事で活用するのが子どもたち」とそれぞれ語り、有明「SMALL WORLDS TOKYO」内に作られる「SDGsピースコミュニケーションシティ」構想についても明かされた。

「子ども未来国連」コミュニケーションサポーターを務めるMIYAVI

 セッション3「デジタル時代を支えるAI産業論・人材論」のゲストは松尾豊氏(日本ディープラーニング協会理事長)、スピーカーは森正弥氏(デロイト トーマツ コンサルティング執行役員)。

 AI技術によって日本の産業競争力を上げることを目的に設立された「日本ディープラーニング協会」。従来の人材育成のための資格試験に加え、新たにAIリテラシーを全社的に上げる無料講座「AI For Everyone」を開講し、独立行政法人情報処理推進機構・東京大学データサイエンティスト養成講座と連携して「デジタルリテラシー協議会」を設立した。

 AIリテラシー講座を立ち上げたきっかけは日本の産業に対する危機感だという松尾氏。今後は「建設、農業、物流といった巨大産業がデジタル化され、グローバルで大きな変化が起こっていく。インターネットやAI、センサ・アクチュエータなどさまざまな技術を組み合わせた総合格闘技として、一連の技術を使って思いもかけない形で変わっていくようなイノベーションが起こる」と予想、そうした時に「たとえばグーグルのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグと戦えますか? ということ」と指摘する。

 森氏は「AI For Everyone」を「あらゆる部署の方々がデジタルとは何か、AIやディープラーニングとは何かを身につけて自分たちのキャリアがどう強化されるか学ばないと、デジタルやAI活用で現場をレバレッジさせていくことにならない。現場で働いている多くの方々を主役にしたAI化が大事」と評価。最後に自分を変化させるマインドセットを問われた松尾氏は「AIによって仕事がなくなると思うか、新しい仕事ができるチャンスだと思うかは見方によって大きく違う。僕は基本的にチャンスにしか見えていない」と断言した。

写真左より若林理紗氏、松尾豊氏、森正弥氏