ユニークな多様性の祭典「パラリンピック見どころ総まとめ」【競技編】

東京パラリンピックでは8カ国が出場するブラインドサッカー(写真・内田和稔)

静寂の攻防・ブラインドサッカー

 走る足音、ボールの音、相手の気配や息遣い。あらゆる感覚を研ぎ澄まして行うスポーツが、ブラインドサッカー(5人制サッカー)だ。ブラインドサッカーは、アイマスクを装着して行うサッカーで、選手たちは音の鳴るボールによってボール位置を把握し、プレーする。「見えない」からスロープレーだと思ったら大間違い。「ボイ!(スペイン語で「行く」の意)」という掛け声とともに、選手たちはピッチを縦横無尽に動き回り、果敢に相手ボールを奪いに行く。一度観戦したら、そのスピードと迫力にきっと驚くはず。それだけではない。ブラインドサッカーのプレーには、「静寂と熱狂」が入り混じる。試合中、選手たちは、監督やキーパー、ガイドからの指示、味方の声、ボールの音など、あらゆる「音」に集中している。そのため、ピッチ外では音を立てずに試合を見守ることが求められる。静寂のなか繰り広げられる激しい攻防戦は、ブラインドサッカーならではの魅力。日本は開催国枠で初出場する。静かなる闘いを熱く見守って。

車いすバスケの選手たちはオリンピックと同じ高さのゴールでシュートを決めるからすごい(写真・ PARAPHOTO 内田和稔)

パラリンピックの花形競技、車いすバスケ

 急旋回・目を見張るスピードに驚くのが車いすバスケ。「いすバス」の愛称で、アニメや漫画などでも親しまれてきた人気競技だ。選手たちは腕の力を使って、急発進・急ブレーキを繰り返し、コートを縦横無尽に動き回る。スピードはもちろん、素早いターンなど緩急をつけた巧みな車いす操作には、感動すら覚える。タイヤと床の摩擦によってゴムが焦げたり、パンクすることもしばしばで、会場にはタイヤの焦げた独特の匂いが立ち込める。車いす同士のぶつかり合いで、コートの外に転げ落ちる選手もいるなど、想像以上に激しいスポーツだ。その他にも、車輪を片方だけ浮かせる「ティルティング」という技術や、車いすの幅を使って壁を作る「スクリーン」など、車いすバスケならではのプレースタイルも見どころ。日本は、男子が12大会連続出場で最高成績は7位。車いすバスケの名門、ドイツ・ブンデスリーガで長年活躍した香西宏昭らスター選手を擁し、今回は史上初の表彰台入りを狙う。女子は3大会ぶりの出場。2000年シドニー大会ぶりのメダル獲得を目指す。

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