俵万智「サラダ記念日はたったひとつの『いいね』で幸せになれるという歌」

貴重な資料の数々が展示された『俵万智 展 #たったひとつの「いいね」』会場

 今回の展示に「仙台の母に電話したら、学生時代に家族にあてて書いた葉書を年別にちゃんと取っておいてくれて、それを送り返してもらって短歌に関わることが記されているものをピックアップしています。私は短歌は日記よりも手紙に似ているなとずっと思っていて、手紙というのは思いを誰かに伝えたくて書くもので、短歌も思いを誰かに届けたいというところが出発点です。今回、短歌が生まれる種が学生時代に書いた葉書にあるんだと発見できたのは面白い経験でした。

 展覧会のタイトル『#たったひとつの「いいね」』も、あ、面白いなと思いました。〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉という歌は、たったひとつの『いいね』で幸せになれるという歌で、今はいかにたくさんの『いいね』をもらえるかを競うと言いますか、本当はひとつひとつの『いいね』に表情があるはずなのにという思いがありました。なので『サラダ記念日』から『未来のサイズ』までの展示をする時に、自分にとっての短歌の背骨のような『いいね』というキーワードを提案してもらったなと思いました」と語った。

 俵の最新歌集『未来のサイズ』(角川文化振興財団)は、短歌界で最高の業績を示した歌集に贈られる「第55回迢空賞」を受賞。同歌集で「第36回詩歌文学館賞」短歌部門も受賞しており、今回でW受賞となる。展覧会は11月7日まで。

(7月20日、『俵万智 展 #たったひとつの「いいね」』@角川武蔵野ミュージアムより)

「俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで」
【期間】開催中〜11月7日(日)
【時間】日〜木曜:10〜18時(最終入館17時30分)、 金・土曜:10〜20時(最終入館19時30分)
【休館日】第1・3・5火曜日
【会場】「角川武蔵野ミュージアム」4F エディット&アートギャラリー
【料金】オンライン購入価格(税込):大人(大学生以上)1200円、中高生1000円、小学生800円、未就学児無料/当日窓口購入価格(税込):大人(大学生以上)1400円、中高生1200円、小学生1000円、未就学児無料
【URL】https://kadcul.com/event/42
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