岡田健史「こんなにも濃厚に生きる事ができるのかと」大河ドラマ『青天を衝け』で手応え

 

 

 兄や栄一たちの背中を見ながら真っ直ぐに育ってきた平九郎。もっとも印象的だったシーンのひとつとして、第7回をあげる。

「栄一と惇忠が漢詩を詠みながら藍売りの旅に出るのですが、出発前に剣道場でそれを聞いた平九郎が栄一に『へぇ。詩かぁ。いいなぁ』とひと言こぼします。純粋な憧れの対象である“兄ぃ” たちとの関係性を徐々にズームアップしていく事こそが、平九郎を演じる上での真骨頂であると考えていましたし、平九郎の最期を演じるにあたっても、僕が考えたのは“兄ぃ”たちの事でした。 “兄ぃ”たちを慕っている平九郎の中身を濃く作っていくために一番考えて、またその後のリズムを掴つかむことができたこともあって、そこが一番印象に残っています。 

 また、平九郎の根底には憧れと同時に、『いいなぁ、兄ぃたち』と言う自分にはできない事をやってしまう事へのコンプレックスもどこかあるのだと思います。僕自身も幼少期に上のお兄ちゃんたちに対して感じた事でもあるのですが、大人とは違い、幼少期に感じる歳の差というの は、非常に大きいものがあると思います。自分が持っているものと年上の人たちが持っているものの違いに対するコンプレックスというのはすごく大きいと思います」

 もちろん、最期のシーンも印象的だった。

「最期のシーンは、変な話、僕でなくても壮絶なシーンになると思います。そうではなくて、 そこに至るまでの“平九郎”という人物をどのように作ってきたのか、という事こそ僕にしかでき ない平九郎なんだと思います。それはよしあしで図れるものではなくで、良くも悪くも僕がそれまでに作ってきた“平九郎”がそこに至ったというのがその最期のシーンではあります」 

 22日放送の第25回「篤太夫、帰国する」では、帰国した篤太夫(吉沢亮)は、横浜で杉浦(志尊 淳)や福地(犬飼貴丈)らと再会する。恵十郎(波岡一喜)と虎之助(萩原護)からは、成一郎(高良健吾)、惇忠(田辺誠一)、平九郎(岡田健史)のその後を知らされる。成一郎らは彰義隊を結成するもすぐに分裂し、振武軍(しんぶぐん)として新政府軍と戦うが敗戦。激闘の中、平九郎の行方は分からなくなり、成一郎は箱館へ向かったという。篤太夫は頭のなかが整理できず……。

 『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時~。BSプレミアム・BS4Kで18時~。再放送土曜13時5分~。