女子アトム級ワールドGPに出場の平田樹「今回はどんなフィニッシュでも自分をほめようと思っています」【9・3 ONE】

「女子アトム級ワールドGP」の準々決勝でアリース・アンダーソン(右)と対戦する(©ONE Championship)

初戦でアリース・アンダーソンと対戦

 トーナメントの準々決勝ではアンダーソンと対戦。
「相手がグラウンドができる選手で、それにトーナメントは負けたら終わりなので、勝ち方もそうですが、とにかく勝つことが前提ということは貫き通したいと思っています。しっかり勝つことが大事だと思っています」
 
 メディア等では今回の試合については勝ち方へのこだわりをみせているように思えます。それは得意のフィニッシュが良くも悪くも注目されすぎていて、そういうことから勝ち方へのこだわりを?
「打撃の練習もたくさんしましたが、やはり自分が得意なのはグラウンドだなと思っています。打撃はグラウンドにいくまでのものと考えて、こだわらないようにしようと思いました。本当に打撃ばかり練習するよりは、自分の得意なところをもっと伸ばそうと思って、この期間はすごくグラウンドにも力を入れて練習していました」

 そのように考え方を切り替えたのはいつ頃?
「試合がない期間に自分の試合を見返すことが多くて、やはりグラウンドのフィニッシュが多いし、グラウンドに持っていくまでの攻撃が多かったので、それなら徹底的にグラウンドを極めたほうがいいんじゃないかなと思うようになりました。やはりMMAだし、打撃だけじゃないと思ったので。それでしっかり寝技をやろうと思いました」

 当初の5月大会の前には「得意な寝技で仕留めたい」と言う一方で「柔道の投げはできるだけ使いたくない」といったコメントを残すなど、柔道に対する微妙な距離感を感じました。
「柔道はバックボーンで、強いベースなんですが“組めなかったら負けるんでしょ”みたいな見方が多いので、そういうこともあって使いたくないなと思うんですが、やはり12年くらいずっとやってきたものなので、練習しなくてもとっさに出る。なので、もし首投げにいったとしても、自分の中ではマイナスにはとらえないようにしています」

 フィニッシュにつなげられるパターンを持っているのは単純に強みだと思うのですが。
「今回は本当に勝てればいいという感じです。しかも相手は柔道の攻撃の研究をすごくしているらしいので、そこで逆に自分が柔道の技で相手を倒すことができたら、自分の柔道は凄い上のレベルなんだなと思えるので、今回はどんなフィニッシュでも自分をほめようと思っています」

 今後、勝ち進んで強豪と戦う上では戦い方の幅を広げるというのは間違いなくプラス。しかし他のスポーツにはある調整試合や捨てゲームという概念がほとんどないMMAでは試合をしながらその部分を伸ばしていかないといけない。それも今回はトーナメントという勝つことが絶対の中で。非常に難解なテーマを背負った中での戦いが続くのでは?
「そうですね。しかも海外の団体だと試合数も少なくて試合の間隔がめちゃくちゃ空くので、その中で練習でどれだけ試合くらいのモチベーションに持っていくのかもすごい大事だなとも思っています。確かに(MMAは)予選とかもないし、一発勝負。でもそれはみんな同じ状況なので。それに今回のトーナメントは勝ってもチャンピオンではない。チャンピオンに挑戦するためのトーナメントなので、自分ではこれが予選会だと思っています」

 一発勝負は強いタイプ?
「そうですね。練習があまり好きじゃないので(笑)。試合が一番好きだし、見てもらうことがすごく好きなので。自分は試合で表現するともよく言われますし、そこだけがウリですね」

 高校時代にインターハイに出場するくらい柔道に打ち込んでいたら「練習が嫌い」とか言ってられなかったのでは?
「そうですね(笑)。今までは“練習あるのみ”みたいな感じだったので。それに今回は長い期間、試合がない状態だったので、本当にきついときは“もう早く試合をしたいよ”って思っていました。でもいざ、試合が決まると“ここまで早かったな”とも思います」