豊島区×吉本興業でSDGsを伝える。世界に誇る「国際アート・カルチャー都市」を目指す

高野之夫:豊島区長(6期目)。豊島区議会議員(2期)、東京都議会議員(3期)を経て、1999年4月から現職。趣味は絵画(クレヨン水彩)、読書など

――豊島区・吉本興業でパートナーを組むに至った背景は。

高野区長:豊島区は、昨年、「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定いただきましたが、吉本興業さんはずっと以前からSDGsに取り組まれていました。そして、エンターテインメントのトップランナーです。そこで、これまでとは違った形で、文化を基軸とする豊島区に、SDGsをテーマにお力をいただけないかと考えたのがきっかけでした。

羽根田氏:これからは笑いやエンターテインメントが人の役に立つことや、社会のお手伝いにつながるのではないかと考えました。SDGsは専門家の方が難しいお話をしても、なかなか届きにくいものです。芸人さんはやはり、発信力や人を飽きさせない言葉の力を持っていますので、さまざまなメッセージを届けてくれるのではないかと思います。なかなか一つの団体・企業では実現できない広がりのあるSDGsの発信ができることは嬉しいことで、今回ご一緒できることが本当に楽しみです。

――昨年制定された「としま文化の日」には、どのような思いが込められているのでしょう。

高野区長:私が区長に就任した22年前、豊島区は財政破綻寸前の状況でした。まずは財政再建のため施設の統廃合などをせざるを得なく、新しいことを行うことが難しかったのです。あらゆることを無くしてしまうと皆が萎縮してしまう。豊島区の将来に向けて、夢と希望を持てる何かが必要だと考え、「文化」を掲げました。文化は、心を豊かにし、力をもらえるものです。初めは様々なご意見もありましたが、ぶれずに続けてきました。

 文化に携わる職員も当時2名のみでしたが、現在は100名超までに。さらには現場を担う「としま未来文化財団」の職員が130名ほどいます。文化を育む取り組みは全国随一ではないかと考えています。

 こうした取り組みの中で、区民や地域団体・企業が文化振興の主体となって広がってほしいとの願いを込めて、昨年「Hareza池袋」の幕開けを記念する11月1日を「としま文化の日」とし、条例で制定しました。2回目となる今年は、11月1〜7日を「としま文化推進期間」とし、区内各地でさまざまなイベントが行われます。豊島区のまちを舞台に、区内外の方が参加することで、その魅力を発信し次代に承継する、これこそSDGsの考えの通り、文化でまちを持続発展させていければという考えに立っています。