実は「たばこ」は植物生まれ!葉たばこを育てる「JTファーム」に行ってみた

JTファーム茨城生産技術実証圃場の技術担当主任、井上琢也さん

 おいしい葉たばこをつくる条件は?

「その栽培法をすると良質な葉たばこができるというのが、分かっていれば皆さんにそうしてもらうのですが(笑)、実際はその土地の条件によって異なってくると思います。葉たばこの産地も全国に存在するため、こうすればいいという正解があるわけではないんです。適切な肥料設計、適切なタイミングでの管理、収穫をしっかりと行っていくことで、良質な葉たばこができるのだと思います」

 農業全体にいえることだが、葉たばこ耕作も高齢化による担い手不足が問題になっている。「今までは品質や収量を高める方法を推進してきましたが、それに加えて、現在は葉たばこ耕作の生産性を高められる方向にシフトしています。同じ量を収穫しても労働時間が短くなり、空いた時間で他の作物に手を広げてもらえれば、葉たばこ農家の経営としても安定します。今は、自分たちが農家さんに何がサポートできるかを模索している状態です」と井上さん。

 最後に、井上さんに葉たばこの未来について聞いてみた。

「JTは買い手、農家さんは売り手という立ち場から、現在は共に生産性を向上させるために知恵を出し合い、一緒に歩んでいくパートナーとして葉たばこ耕作に取り組んでいます。たとえば実際に農家さんから労働時間を短くする工夫をヒアリングし、それを皆さん共通の知恵として広げていくといった形です。より皆さんに還元できるような葉たばこ耕作技術や取り組みを続けていきたいなと個人的には思っています。

 コロナ禍でなかなか難しいところではありますが、畑にきて葉たばこを見て触って嗅いでもらいたいなというのはもちろん、まず知っていただきたいのは、コンビニエンスストアの棚に並んでいる たばこは葉たばこという農作物からできているということです。こういうご時世でたばこは嫌われがちですが、その裏には汗水流している農家の方々がいることを知っていただければ幸いです。その気づきを得ていただくだけで、たばこをよりよくしていこうという農家の方々と自分たちの励みになります」