世紀の対決がついに実現。武尊の「完全決着の無制限延長ラウンド」希望に那須川は「そこまでもっていかなければいい」

那須川天心

武尊「存在を恨んだ時期もあったが今は感謝の気持ちのほうが大きい」

 互いの存在について武尊が「団体は違うがライバル的な存在だとはずっと思っていた。ただのライバルではなく、対戦が実現できなかったことで、いろいろな溝が生まれた中で最初は存在を恨んだ時期もあった。でも、今回実現して、やっとそう思えるんですが“天心選手がいたから僕はここまで格闘家としてやってこれたんだな”と今は感謝の気持ちのほうが大きいかなと思っています」とこの6年間の気持ちの変化を明かした。那須川は「2人とも別の世界を作ってきたが、ここでやっと交わる。お互いの団体をずっと盛り上げてきましたし、ここまで僕が最初に言った時から6年くらい経っているが、2人とも1回も負けていない。これも何かの運命かと思う。正直すごいなと思います。非常にうれしく思います」などと語った。

 またファイターとしての印象については武尊が「天心選手も素晴らしいファイターで、世界でもトップのコンプリートファイターだと思う。僕は今までの試合で、どれだけ自分より優れている選手だったとしても、気持ちで負けなければ勝てるということを自分の体で証明してきた。そこには絶対的な自信がある。気持ちの部分では世界中のどの選手にも負けないと思っている。そこがあれば必ず勝てると思っている」と那須川の実力を認めつつも自らの気持ちの強さがそれを凌駕すると話す。

 那須川は「警戒するところは圧力だったりパワーだったり。階級が上なので、僕より全然圧力はあると思う。勝っている点はいっぱいあるが、一番はマインドですかね」と階級の違いからくるフィジカルの差には警戒感を示した。この「マインド」については武尊の言う「気持ち」とは微妙に違うようで「そこは雰囲気で」とさらり。

 今回の試合は実現までさまざまな障害があったが、それを乗り越えて実現した。そのなかでも互いに譲れないものはあった。それについては武尊は「僕はこの試合を実現するにあたって、どっちかの団体が落ちちゃったりとか格闘技界が落ちちゃったりとか、そういうふうになったらこの試合をやる意味がなくなってしまうと思っている。そういう意味で誰も傷つかないというのは難しいと思うが、それに一番こだわってではないが、この試合が熱望されてからK-1が悪く言われたところもすごくあったし、逆のこともあったと思う。そういうふうに、せっかくこんな最高のカードができるのに、格闘技界が悪いイメージになるのがすごい嫌だった。僕の試合のことで悪く言われるK-1ファイターにもすごい迷惑をかけたなと思っている。自分のことではないのに、そういうふうに言われたことが悲しかったと思うし、悔しかったと思う。それが一番きつかった。こうやって試合を実現できることで、そういうこともなくなるのかなと思う。一番こだわっていたのはそこ。RIZIN、RISE、K-1.そのほかの団体全員がみんなで上がるための試合にならないと意味がないと思う」と昨年大晦日にRIZINの会場に現れ、会見で打ち明けた思いを再度語った。また別の質問の際に那須川が「この試合後にキックボクシングがすぐに発展するかといったらそうではないと思う」と語ったことについては「全然そんなことはないと思っている。今、僕と天心選手以外にもいい選手はたくさんいる。僕らがいない大会でもすごく盛り上がっている。僕らの試合が終わった後、この試合を見て、“格闘技は面白い”と気づいてくれる人がたくさんいると思う。その人たちが僕らの試合だけじゃなく、いろいろな団体の選手の新しいファンになって、格闘技界はもっともっとでかくなっていくと思う。そういう試合になると思う」とここは異なる見解を見せた。