是枝裕和監督 カンヌから直行した韓国から帰国し凱旋会見「韓国の監督たちには少し申し訳ない気持ちもある」

 

 カンヌでの受賞後、劇場公開に合わせ韓国へ直行した是枝監督は、韓国の空港での熱烈な歓迎を「空港が揺れていました」と表現。「空港職員の人たちもぞろぞろついてきちゃって。国民的なスターが韓国映画で初受賞というのはオリンピックの栄誉以上なのだと分かりました」と振り返った。

 初日1位で始まった韓国での大ヒットを喜びつつ「韓国映画の中では、一番善悪がはっきりせず物語の起伏もあまりないので…自分でこういうことを言っちゃいけないか(笑)」と苦笑し「(大ヒット中のエンターテインメント大作の)『犯罪都市』とどちらを見るか迷って本作を見てくれた人にとっては、どうなのか」。笠井アナから「韓国でも自分のスタイルを貫いたということでは」と言われると「ときどきそれを後悔します(笑)」と報道陣を笑わせた。

 韓国の映画製作について質問されると、必要な部分は従来の自身のスタイルを貫いたとしつつ「韓国では映画の現場でも働き方改革がいい方向に進んでいて、労働時間も決まっていて感覚的には4日働いて3日休む感じ。韓国の現場は20代、30代が中心だが、日本映画は高齢化していて若い人が入って来ない。それは我々世代の責任としても感じているところ」と省み「映画監督で60代はまだ現役だと思っていたんですけど、韓国だと僕の年齢だとほぼ引退している。なかなか変わらない国にいると、ちょっと早すぎないかとも思いますが」と、現地で感じた日本映画界との違いについても語っていた。

『ベイビー・ブローカー』は6月24日より公開。