“映画”に進化する企業の映像広告 映画監督・藤井道人「一本背負いされた気分」ゆりやんも「見た後、買ってしまいました」

 

 惜しくも受賞は逃したものの印象的だった作品についても熱く語った審査員たち。インターナショナル部門では、ハリウッドの人気監督ジェイソン・ライトマンとアイヴァン・ライトマンが親子で共同監督を務めたAppleのブランデッドムービー『Holiday: Saving Simon』も高く評価された。少女が大切にしていた雪だるまが最後にバラバラになってしまい、また新しい雪だるまを手に入れるという描写に、太田氏は「どんなに大切にしてもスマホはクラッシュしたり、いつか機種変更しないといけない。また新しいスマホをお届けしますよ、という隠れたメッセージがあるような気がする」と言うと、ゆりやんは「私、この作品を見た後、買いました」と明かし、笑いをさそっていた。

 また、ナイキジャパンの作品『動かしつづける。自分を。未来を。The Future Isn’t Waiting』の背景にある「ブランドはニュートラルでなければいけない」という姿勢について感銘を受けたというゆりやんは「人に何を思われても自分はこうだという姿勢が大切だと思い出させてもらった。ゆりやんレトリィバァはニュートラルでなければいけないんだと思いました。なので誰にも気を使わず、いろんなことをさらしていきます」とニュートラル宣言。

 その後も、一同はそれぞれの作品から得た視点やブランデッドムービーならでは魅力についてなど、幅広く議論。

 映画祭代表の別所哲也は、今回、Insight Techと共同で行ったAI解析の結果を示しながら「一般的なコマーシャルより、ブランデッドムービーのほうが商品のことが伝わり、関心がより強く沸いたという結果が出ました。人と人をつながるところにおいて映像の力、ストーリーテリングがますます重要になってくると思う」と、ブランデッドムービーのさらなる可能性を語った。

 他「デジタルと人間らしさの融合」をテーマに、Purpose(存在意義)、New(新奇性)、Design(デザイン性)、Human Experience(人の体験・体験価値)、Engagement(愛着)による5つの指標から優れた作品を選出する「Deloitte Digital Award(デロイトデジタルアワード)」では『Taking Flight』(クライアント・講談社)、『The Wish』(クライアント・Penny)、『Unspoken Love』(クライアント・OPPO)が受賞。

 ヒューマンリソースを目的としたブランデッドムービーを表彰する「HR部門 supported by Indeed」では『ニチイ新卒介護職 採用MOVIE「やさしさも、自分らしさ。」篇』(クライアント・株式会社ニチイ学館)がHRアワードを受賞。

 地域の観光振興を目的とした映像作品を表彰する「観光映像大賞」観光庁長官賞は一般社団法人 宇久町観光協会が受賞した。

『SSFF & ASIA 2022』は20日まで都内各会場にて開催中。『BRANDED SHORTS 2022』ノミネートおよび受賞作はオンライン会場(6月30日まで)にて配信あり。

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