THE RAMPAGE 浦川翔平、銀座のBUZZを歩く<BUZZらないとイヤー! 第29回>

 この日は、人気のネタと今の季節におすすめのネタを前もってオーダー。「では、早速、始めましょうか?」という小林さんの言葉でスタートです。

 まずは「小肌」が登場。佐賀県の小肌であると説明されると「お隣の県!」と、長崎出身の浦川さん。ゆっくりと舌の上にするりと乗せると「…うまい」と目を細めます。

「九州の出身なので、初めて江戸前(の寿司)を見た時、赤酢のしゃりにすごくびっくりしたというか、結構な衝撃を受けたんですよ。シャリが赤いっていうのもそうだし、赤酢の旨味も」と、浦川さん。小林さんもうれしそうです。

ていねいに包丁が入れられた「白イカ」

 

 次は、長崎産の「白イカ」で、浦川さんも「よく釣っていました!」と前のめり。ていねいに包丁が入れられた美しい寿司。浦川さんは、しばし空を見つめ、何とも言えない幸せそうな表情です。「しゃりの大きさはいかがですか」?という小林さんに、「ばっちりです。……小林さん、もう(登龍門は)卒業です!(笑)」

 鹿児島の「天然シマアジ」とほおばると浦川さんの表情が少し変化します。「…シマアジってゴリゴリするというか、噛み応えがあるイメージだったんですが、こんなにシャリと一緒に溶けるシマアジは初めてです」と、うまいうまいと連発します。

 小林さんによれば、おろしたてのシマアジは固めの食感なのだそう。「昨日おろして真空状態で寝かせています。関東では、今食べていただいたような、ねっとり食感が主流で、それが今の江戸前の主流でもあります。九州や関西はゴリゴリした固めなのが好まれますよね」

 一貫、また一貫と食べていくうちに、小林さんとのコミュニケーションも滑らかに。浦川さんも次々に質問が飛び出します。「本店で握っている方と、小林さんや登龍門で握っている方、そんなに違いがあるものですか?  僕はとてもおいしくいただいていますし、その違いって職人さんにしか分からないような微々たるものだったりするんじゃないでしょうか?」

「違いは確かにあるんですよ」と、小林さん。「ただ、口では言い表せない何か、ではあります。経験値もありますし、お客さんとのやりとりや雰囲気づくり、また提供のタイミングや間合い……それで味が変わってきます」