世界屈指の動物標本と考える「私たちは誰なのか」 上野「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」

「ちがいの整列」コーナーのさまざまなツノが生えた哺乳類

「ちがいの整列」というコーナーでは、ウシ科とシカ科のツノの違いやさまざまな生き物に刻まれる年輪について知ることが、「まさかの細部」というコーナーでは、ラッコやホッキョクグマの機能的な毛、実は皮膚が角質化したサイの角、センザンコウのうろこ、ヤマアラシのとげなど動物たちの体を覆うものが観察できる。

陸棲哺乳類から再度水中に戻ったイルカの椎骨

「からだのなかの彫刻」コーナーには多様な形の美しい骨や歯が、「はえている道具」コーナーにはいろいろな小哺乳類の仮剥製が並べられ、「かもしれない模様」コーナーでは動物たちの模様の不思議を、「どこかで関係」コーナーでは食物連鎖や宿主と入居者など動物同士の関係性を考察。さらに哺乳類とは何なのかを考えさせる展示から、究極の問いである「私たちは誰なのか」に向かう。

「かもしれない模様」コーナーでは動物の模様に対する考察も

「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」は日本デザインセンター 三澤デザイン研究室が企画編集・デザインし、各年度の優れたグラフィックデザインを表彰する2022「JAGDA賞」を受賞。巡回展キットとして日本各地の美術館や商業施設などの施設で展示することができる。

 まるで生きているような動物標本たちに囲まれながら、哺乳類とは、ヒトとは何かゆっくり思索を深めてみてはいかがだろうか? 「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」は国立科学博物館 企画展示室にて9月25日まで。