実物大ピカソ《ゲルニカ》が目の前に!脅威の8K映像で見る初台「ゲルニカが来た!」

本展の見どころを解説する早稲田大学の大髙保二郎名誉教授

 イベントを監修した早稲田大学の大髙保二郎名誉教授は「《ゲルニカ》は何十回という展示や梱包を繰り返した結果、カンヴァスが劣化してボロボロの状態で、それが門外不出とされる最大の理由でもあります。その意味でも、今回の8K高精細映像での撮影は極めて貴重なもの。ゲルニカの悲劇と絵画の制作から85年を経て、《ゲルニカ》が何を伝えようとしているのか改めて考えてみることは、戦争の時代が現実のものとなりつつある今、緊急の課題ではないだろうかと考えています」と解説。

 撮影を担当したNHKエデュケーショナルの田島徹エグゼクティヴ・プロデューサーは「2021年2月、コロナ禍の真っ只中に現地にいるカメラマンと連絡を取り合い、リモート撮影という形で《ゲルニカ》を撮影しました。《ゲルニカ》はモノクロの作品ですけど、実際に実物大の映像を目の前で見ると何層ものグラデーションがあり、筆のタッチや下描きのあとにピカソの息遣いが感じられます。カンヴァスの中の人や動物一つひとつがとても興味深く、傑作というものは何十年経っても力を持っていると感じました。8K高精細映像による実物大の《ゲルニカ》を体験する機会を提供できたことは制作者にとっても貴重」と振り返った。

 約20分間の上映では、縦349.4cm×横776.6cmの《ゲルニカ》をほぼ実物大で見ることができるほか、牡牛や馬、鳥、折れた剣と花、電球、死んだ子を胸に泣き叫ぶ母など、一つひとつのモチーフをアップで映し出す。特にカンヴァスの上部に描かれるモチーフなど、通常は間近で見るのが難しい部分も大画面で堪能することができる。モデルの冨永愛や女優の上白石萌歌が「ゲルニカが来た!」を体験する様子や、スペイン・ゲルニカの町の資料映像など《ゲルニカ》への理解を深める映像も挿入される。

 ピカソの《ゲルニカ》を実物大で体験できる上映イベント「ゲルニカが来た! 大迫力の8K映像空間」は、東京オペラシティタワー4階のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて28日まで。入場無料、日時指定予約制。