「かっぱ寿司」運営会社「営業秘密の持ち込み二度と起こさない」新社長が事件の経緯説明

「競合会社の情報を社内に持ち込むこと自体があってはならないこと」

 山角社長は「法令の理解にかかわらず、代表取締役たる者が競合会社の情報を社内に持ち込むこと自体があってはならないこと」と断じ、作成された比較表等に基づいて新たな商品の開発や仕入先の変更といった具体的に活用された形跡はないとした。

 再発防止には入社時の誓約書を通じた営業秘密の持ち込み禁止や、カッパ社の親会社であるコロワイドグループのコンプライアンス統括室によるモニタリング調査の実施など、具体的な対策を盛り込んだ。

 田邊容疑者の入社の経緯については「当時、コロワイドグループ全体として、大手人材紹介会社を通じ幹部人材候補を社外から複数名募集していた。前代表は、この過程において転職サイトへの登録者の1人として紹介を受けた」「オファーレターは2020年8月26日付であり、当時候補者だった前代表とのやりとりは人材紹介会社を通じて行われ、それ以前に役員就任の打診をしたことはない」と述べた。

「たった今、この瞬間でも多くのお客様に当社店舗を利用していただいている。当社従業員も日々本当に大変な中、勤務を継続している。私たちはお客様が望む商品、望むサービスを私たち自身で開発して参ることで、それをお客様にお届けして信頼を回復していきたい。今回の営業秘密の社内への持ち込みのようなことは二度と起こさないための対策を徹底して参ることで、今後のお客様、株主様、関係者の皆様の信頼を回復していきたい」

 事件の背景に回転寿司業界の競争激化があるのではという指摘には「田邊がプレッシャーからそのデータの活用に至ったものではなく、ヒアリング結果として“水準感を把握する”といった話がありました」「当人によれば競合会社の水準感をこちらと比較することで、数字の肌感であったり水準感を把握したかったということで、それを何かに使うという話はヒアリングでは出ていない」と答えた。

 また、比較表を作成した大友容疑者について「“なぜこのようなデータがあるのか”ということは当然疑問に思っていた」「思ったものの通常の業務指示の範囲内で作業を実施しているのは事実。私たちの情報取り扱いの教育の不足によるもの」と陳謝した。