小栗旬「使える魔法が2つぐらい増えた」最終回に向け「#全部小栗のせい」が熱くなる!《鎌倉殿の13人》

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 小栗が演じる義時を筆頭に、たくさんの魅力あふれる登場人物が登場し、次々に退場していった。そのなかで義時は最後まで守り抜こうとしたのは、姉である政子(小池栄子)であり、息子の泰時(坂口健太郎)だという。

「政子のおかげで北条の人たちはみんな人生が変わってしまっているので、そこには思うこと色々ありなんですけど……良いことは良い悪いことは悪いという基準が昔から変わらない政子は義時が守りたいもののひとつだったんじゃないかなと思っています。義時が最後の最後まで守りたかったものって何なんだろうって思うとき、あくまでこの『鎌倉殿の13人』の中のお話ですけど、そういった政子や泰時の純粋さだと思うんです。義時は泰時に昔の自分を見ていて、自分も同じ考え方だったのにそれができなくなり泰時が自分にたてついてきたりする瞬間に、100パーセント守りたい、これを屈折させるわけにはいかないって思ったと思うんです。その2つが義時が最後の最後まで守り抜こうとしたもの、そこが自分の中では肝だったかもしれないです。それを真っすぐに演じてくれる栄子ちゃんと坂口君がいて……非常に楽しかったです」

 とはいえ、義時は政子の息子殺しにも関わっているのだが……。

「そこは本当に申し訳ないなと思ってました。それこそ栄子ちゃんが演じているからなのかわからないけど何で普通にしてられるんだろう?って思う瞬間がいっぱいあるんですよ。でもそれが人間なのかなとも思ったりして。どんなに深い悲しみが来ても自分の人生を終わらせない限りは生きていかなきゃいけないってなると、悲しみや苦しみに一度蓋をしなければいけない瞬間もやっぱりあるんだよなあって。政子って意外と明るいんです、結構えぐいことがいっぱい起きてるのにって。栄子ちゃんが演じたからこそ、説得力を持って見せられた部分なのかなと思います」

 小池はもちろん、共演者に支えられた部分は多いと強調する。いまだ人物像が謎に包まれている感のある三浦義村を演じる山本耕史もそのひとり。

「耕史さんや栄子ちゃんは、僕が考えていることをすごく理解した上で、的確に自分のそのキャラクターを表現するためのリアクションを取ってくれるんです。そういうことが多々ありました。自分が怖く見える芝居や、キャラクターを大きく見せたりする必要がないので、そういう相手役とお芝居すると無理しなくていいんだよなぁって思う瞬間がいっぱいありました。耕史さんとの現場ではそれをすごく感じていました。彼自身も面白い芝居をいろいろされるんですけど、義時というキャラクターがいま自分の目にどう映っていて、それを見ているお客さんたちが自分のリアクションによって義時にどういうことを感じるのかっていうことをやってくれる。そこはもう非常に救われたなと思います」

 もちろん、三谷幸喜による台本に寄るところも絶大。

「こんなに説明セリフが少なくて済んでいる脚本ってないなと思っています。起きてる物事、それぞれの人々の言葉によって世界観が見えてくる脚本で、それは本当にすごい。それでいて、1人がこんこんと長セリフをしゃべるシーンもなくて。僕が偉そうなこと言うのは何ですが本当にちょっと神がかってたんじゃないかなって思うぐらい毎回毎回読むのが楽しみでした」

「演じることに対してすごく前向きにさせてくれる本作りをしてもらっていた。そこがたくさんのお客さんたちを引きつけている要因」だと強調する。

「あげたら切りがないぐらいすごくて、しかも最終回をああいう形で書いてくれたこともすごい。大河ドラマを本当にこよなく愛している方なんだろうなっていうのは伝わってきました。大河ドラマという場所で三谷幸喜さんの脚本でこういう形でできたということは自分にとってありがたい」

 残された放送はあと5回。「#全部大泉のせい」から「#全部小栗のせい」へと変化したSNS上を沸かせるハッシュタグもさらに活用されそう。

「48回まで僕に不快な思いや怒りを感じるお客さんが多ければ多いほど、役者冥利に尽きる。そういうキャラクターをやれてよかったと思います。でも、『振り返ってみてください! こいつも結構いいやつだったんです』っていうのもやっぱりあります(笑)。いろんなボタンの掛け違いがあり、ストレスやプレッシャーがどんどん積み重なって、今の義時になってしまった。じわじわと彼を蝕んでいった何かみたいなものを丁寧に描けているかなと思っています」

『鎌倉殿の13人』は、 毎週日曜、NHK総合で20時から、BSプレミアム・BS4Kで18時から放送中。再放送(土曜13時5分~)もある。

 

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)

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