名古屋市千種に「メニコンシアターAoi」が開設。「新宿や下北沢、ブロードウェイのようなエンターテインメントのメッカにしたい」

芸術監督に就任した山口茜氏

 このラインアップについて山口氏は「この劇場を芸術監督として運営していくにあたり、まずは地域に住む人々、地元のアーティストとの連携を第一に行いたいと思った。土地があって、そこに生活する人がいて、そこで表現する人がいて、それを見る人がいて、その見る人の中から自分もやってみようと思う人が出てくるという連続性を帯びているのが生き生きとした地域の劇場を作る条件ではないかと考えた。次に遠くにいる、自分とは完全に異なる他者へ思いや考えを届けられる力のあるアーティストを招きたいと考えた。芸術を通して体験した他者の考えや思いはより深く、その人の心身に浸透する。であれば、その力を持っていて、かつマイノリティーや社会的弱者の存在を無視せず、自らの弱さを引き受ける覚悟のあるアーティストを招きたいと思った。最後にクリエーションに没頭しているアーティストであることも重要だと考えた。何かに没頭している人は他者にポジティブな影響を与えるのではないかと考えた」などとその意図を説明した。

 今回の山口氏の起用について財団の杉山章寿事務局長は「田中(英成)代表理事もずっと演劇に興味を持っており、“地域の活性化のために名古屋に劇場を作りたい。できれば若い人たちが集う劇場にしたい”という考えを持っていた。それで若い劇作家や演出家に芸術監督になってもらいたいと思っていた。かつて山口さんが名古屋で公演を行った際にメニコンが支援したのだが、当時の縁も覚えていたし、代表理事も公演を見たことがあった。若くて受賞歴もあって、ずっと京都で頑張っているので、ぜひやっていただきたいということになった。候補が3人いて、その中の1人だった」などと就任を要請した経緯を明かした。