ワールドツアー上映『鬼滅の刃』米ロサンゼルスで舞台挨拶 世界市場をどう取り込めるか

韓国でも人気の『鬼滅の刃』。ワールドツアー上映に合わせ、3月11日には現地で舞台挨拶が行われる(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 2月18日(土)のアメリカ・ロサンゼルスを皮切りに、25日(土)にはフランスのパリ、翌26日(日)にはドイツのベルリン、3月4日(土)にはメキシコのメキシコシティ、11日(土)には韓国のソウル、19日(日)には台湾の台北と、1カ月にわたって6の国と地域で舞台挨拶が実施される予定だ。実写作品を含めても、日本映画でここまで海外で舞台挨拶を展開するのはおそらく例がないだろう。特に、18日にハリウッドのお膝元のロサンゼルスに日本映画の役者やスタッフが乗り込んでいくのは感慨深いものがある。

 ここまで世界で受け入れられているのは、ひとえに日本の漫画、特にジャンプ作品が東アジアを中心に世界で人気だからという背景もある。また、ここ1年余りのジャンプ作品による劇場アニメの興行収入はすこぶる好調で、2021年12月に公開された『劇場版 呪術廻戦 0』が137・5億円、22年8月に公開された『ONE PIECE FILM RED』が197・0億円、そして22年12月に公開されたばかりの『THE FIRST SLAM DUNK』が103・7億円と、ことごとく100億円の大台を突破している。いずれも海外でも高い興行収入と動員数を記録している。

『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』も公開10日間で興行収入20億円を突破。とはいえ『鬼滅の刃』ブーム自体は国内では2020年〜21年にかけてがピークであり、『無限列車編』が10日で107億円を突破した勢いと比べても落ち着いているといえるだろう。一方で海外では時間差があり、いまだに火が点いているところもある。「ワールドツアー」を前面に打ち出している点からも、海外の新規層を取り込む狙いがあるとみられる。

 そう考えると、注目すべき点は世界最大の人口を擁する中国で公開されるかという点だ。実は『無限列車編』は中国では一般劇場公開されていない。これは中国国内で『鬼滅』人気がないからというわけでは決してなく、新型コロナウイルスの感染拡大など、さまざまな要因があるとされる。

 劇場公開こそされていないものの、インターネット配信はされており、中国の動画配信サイト「bilibili(ビリビリ)」で見ることができる。これは違法アップロードされたものではなく、公式に配信されているものであることから、恐らく中国国内の検閲の問題はクリアしているものと見られる。

『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』で世界公開される「80以上の国と地域」の内訳は詳細には発表されておらず、韓国や台湾は決まっているものの、中国がこの中に入っているかはまだ明らかになっていない。もし中国全土で公開されれば、世界の興行収入では『無限列車編』超えの可能性も見えてくるだろう。

 18日にまず「ワールドツアー」第1弾としてロサンゼルスで舞台挨拶が開かれる。アメリカや中国をはじめとする海外市場をどのように取り込めるかに注目だ。

(取材・文:河嶌太郎)