安田成美「ライト建築の中でどんなストーリーになるのか私も楽しみ」朗読劇「星の王子さま」

 テレビ・映画・舞台とさまざまなジャンルで活動し、唯一無二の存在感を放つ俳優の安田成美。そんな安田と作曲家の阿部海太郎による朗読劇「星の王子さま」が7月1~2日、豊島区の自由学園明日館にて上演される。サン=テグジュペリの「星の王子さま」をもとにした物語を朗読する安田に、作品にかける思いを聞いた。

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7月1〜2日、自由学園明日館にて朗読劇『星の王子さま』に出演する安田成美(撮影:蔦野裕)

 昨年10月に上演した舞台の待望の再演となる朗読劇「星の王子さま」。

「初演の時は、八ヶ岳のやまぼうしという会場で全部自分たちで手作りしたんです。自分の好きな物語を一から台本に起こしてみようと、企画と脚本を作るところから始まりました。ママ友に車の誘導やチラシ配り、チケットのもぎりをお願いして、小道具のバラの花はお花屋さんに買いに行って、花を生ける剣山も焼き物で自分で作って。私にとってはとても思い入れのある作品になり、これからもライフワークになるような作品にしていこうと思って、今回は東京の自由学園明日館でやってみようということになりました」

 安田がサン=テグジュペリの「星の王子さま」と最初に出会ったのは中学生の頃。

「自分の中のインナーチャイルドに響くというのでしょうか。“そうだよね” と共感できる。 文中で〈おとなって、ほんとにへん〉というフレーズが何度も繰り返されるんですけど、私たちが当たり前だと思っていることでも、ちょっと角度を変えて子どもの目線で見ると “本当にへんてこだよね” という皮肉を、王子さまが純粋に素朴な疑問として伝えているところがとても心に響きました。サリンジャーとか、昔からひとひねりある作品を読むことが多かったかもしれませんね(笑)」

 朗読劇への挑戦は三上博士と共演した『ラヴ・レターズ』(2010)以来。

「舞台上には役者と声だけで、同じ空間を共有しているのに、演じている場面は観客の皆さんがそれぞれ想像している。体を動かす演技とはまた違って、音だけの表現でとてもシンプル。みんなで集中してその場を作り上げる感覚がすごく面白くて、またいつかやってみたいなと思っていたんです」

 初演からのメンバーである作曲・演奏の阿部海太郎に加え、今回は美術を次男で画家の木梨銀士が担当する。

「海太郎さんの作り出す音楽が本当に大好きで、“いつか何かしましょうよ” とラブコールを送っていたんです。今回の朗読劇をやろうと自分で決めた時に、音楽はやっぱり海太郎さんしかいないと思って。息子の美術に関しては、私ではなく海太郎さんからのラブコールです。前回の公演の時に、海太郎さんが次男の作品を見て “ちょっと銀士くんに入ってもらいたい” とおっしゃって。本人に聞いてみたら “できるかな” と言いながらもやることになりました。責任を感じてしまうんですけど、私のせいじゃないと思いながら(笑)。ドキドキしますが、私も彼の作品を楽しもうと思っています」

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