幕末から明治を生きた絵師・河鍋暁斎(1831-1889)。海外の名コレクションで、その多彩な画業の全体像を一望できる貴重な展覧会。
幼いころに浮世絵師の歌川国芳に入門した暁斎は、その後、狩野派に学び19歳の若さで修行を終了。さらに流派にとらわれずさまざまな画法を習得し、仏画から戯画まで幅広い画題を、ときに独特のユーモアを交えながら、圧倒的な画力によって描き上げた。
本展では、そんな暁斎の多岐にわたる画業を、世界屈指の暁斎コレクションとして知られるイスラエル・ゴールドマン氏所蔵の作品約180点によって紹介。
海外のコレクターたちの注目を集めるきっかけとなったカラスを題材にした作品から、生き生きと、ときにコミカルに動物たちを描いた作品、大きな転換期を迎えた幕末明治にありながら冷静なまなざしで西洋文化を題材に取り入れた作品など、その観察眼や表現の豊かさは、時代や国を超え人々を魅了する。さらに、七福神や如来などの神仏や百鬼繚乱の物の怪など、祈りや神秘の世界を題材とするときも、そこには暁斎ならではの視点や表現が見て取れる。