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大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第42回 この夏、ダイノジが上げる”喜劇”というでっかい花火。

2015.06.17 Vol.644

 ダイノジの夏といえば夏フェス……ではありますが、今年の夏はそれだけじゃない。20周年の夏、ダイノジは喜劇に挑戦します。それが、『ダイノジ活動20周年記念公演「テイラー・バートン〜奪われた秘宝〜」』!……ダイノジ活動20周年記念公演。なんだか、すごい。関わってる人たちみんなが、持ち上げてくれてます。

 自分のブログでも書いたことだけど、以前から喜劇をやってみたいって思っていました。そのなかでいろんな出会いや巡り合わせがあり、20周年っていうのもあって実現しました。脚本は、西野くん(キングコング、西野亮廣)にお願いしています。前に自分で書いて芝居をやったこともあるし自分でっていう選択もあったんだけど、今回は西野くんにお願いしたかった。西野くんは、誰も傷つかない、死なない、ハッピーエンドな話を作るんです。ダイノジはコントのなかでも人が死ぬので、そうじゃないことをやりたいっていうのがあって。それに、西野くんは、タモリさん、鶴瓶さん、三谷幸喜さんが認めるクリエイティブな才能でもありますから、その感じに挑んでみたいなっていう気持ちがあったんですよね。

 さて、舞台ですが、テイラー・バートンっていう宝石があって、それを盗む側がいて、守る側がいて……そのなかで誰が一番ずるいのかっていうもの。大筋はそんなお話です。それをですね、「グランジ PRESENTS」「ブロードキャスト!! PRESENTS」、西野くんやNON STYLEの石田の「ナイスなやつらPRESENTS」、そして「ダイノジ PRESENTS」という4組の異なるキャスト陣が、それぞれ違った演出家と組んで6日間にわたって上演します。同じ話なのにまったく別の舞台になってるかもしれないし、そうでもないかもしれない? 見てくださる方はそれぞれを見比べる楽しみ方もあると思います。

 僕らの演出をしてくれるのは、川尻恵太さん。エレキコミックやエレ片、ラーメンズと仕事をしている方ですけど、西野くんの推薦。自分たちのなかからは出てこないアイデアでしたね。まだどうなるかはこれからってところもあるけど、普段使っている武器は使わないつもり。大地さんのマッチもエアギターも出ないし、ラジオDJも出てこない。西野くんの脚本、川尻さんの演出…そこに飛び込んで行ってどうなるのか、楽しみですよ。

 公演は、8月18日〜23日まで、草月ホール。ダイノジ出演は、20、21、22日の3日間で3公演です。もともとは、ダイノジの喜劇というところからスタートしたのに、いろんなことを考えていたら、壮大なものになっています。ダイノジの喜劇、期待していてください。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第41回 「父ちゃん」はちょっと切ない。

2015.06.11 Vol.644

 今週の『キキマス!』、すげー面白いです。8日に萩本欽一さん、9日に田中眞紀子さん、10日に檀ふみさんと、豪華なゲストを迎えて放送しています。豪華すぎなのかなあ。暴飲暴食したわけでもないのに火曜日の夜から痛風の症状が出始めました……。番組が終わったときは何でもなかったんですけどね。夜、仕事を終えてタクシーを降りたら、あれっ?って。症状が出るときはたいてい「飲み過ぎたからな」と原因が分かるもんなんですけど、本当に心当たりがない。『キキマス!』のゲスト以外にね。

 さて、なぜこんなに豪華なゲストが登場しているかというと、今週はスペシャルウイークなんですね。「父ちゃんバンザイ! 波乱爆笑オヤジ伝説キキマス!」と題して、ゲストの方々から、お父様のことやお父様とのエピソードなどを伺っています。当たり前のことなんだけど、それぞれまったく違う「父ちゃん」で、話を聞いていて面白いんですよね。聞きながら、ゲストの方の新たな魅力も感じられたりもしますしね。田中眞紀子さんがいらっしゃったときなんて思わず「きれいですね」って言っちゃいましたし。眞紀子さんのちょっと乙女な部分も見えたりして…。政治家としての顔を見てきたから怖いイメージが先行するけど、可愛げのある人。だから、こんなに目を引くんだろうなって思いました。

 このテーマでお話を聞きながら思うんだけど、「父ちゃん」ってちょっと切ないんですよ、結構報われない。同調圧力っていうのかなあ、周りから「父親はこうあってほしい」みたいなイメージを押しつけられてるようなところがあるし、しつけとして偽薬的な意味で子どもに対して怖い存在でなければならないみたいな、悲哀がある。もちろん家庭によって違うだろうし、どんな「父ちゃん」であってもいい、それでいいって思っているんだけど、やっぱりそういうところ、あると思うんですよね。そうなると、愛情を注ぐ母親は感謝されやすくて、父親は…ってなる。

 父の日(6月21日)が近いからって考えた企画ではあるんだけど、お話を伺ったり、いただいたメールを読んだりしていると、切ない、報われない存在である「父ちゃん」にスポットをあてられて良かったなって思っています。最終日(11日)は、間寛平さんが来てくれます。また、いいお話が聞けそうです。

格闘家イケメンファイル Vol.26 BRAVEハート 坂巻魁斗(さかまきかいと)

2015.06.08 Vol.644

 デビューから3連勝、いずれも1R1本勝ちで、一躍脚光を浴びた坂巻魁斗。今年高校を卒業し、本格的にプロとして活躍し始めるやすぐに注目選手となった現在の心境は。

「うれしいですけど、プレッシャーも少しあります。これまでは1Rで1本勝ちしてきましたが、全部うまくいくとは思っていません。でも1本勝ちにはこだわっていきたい。応援してくれるファンの方もそうですが、初めて見に来てくれた方は、1本勝ちやKOのほうが勝負が分かりやすいと思うんです。プロ選手としてやらせてもらってますし、そこは狙って行きたいなって思いますね」

 もともとは父親の影響で格闘技を始めたとか。

「影響というか、父親が好きで3、4歳のころから地上波の格闘技を一緒に見ていて、かっこいいなと。それで小学校1年生の時に空手を始めたんです。で、テレビでK-1や総合格闘技を見て魔裟斗選手や山本”KID”徳郁選手にあこがれて、中学校2年生の時に、知り合いに今のジムを紹介してもらい、総合格闘技を始めました。2人とも試合だけじゃなく、いろいろなメディアに出ていて、スター性があった。そんなところもかっこいいなと思います」

 現在3連勝中の坂巻。先月24日に開催された「ZST.46」でも1ラウンドでの1本勝ちを収めた。

「前回の試合の決め技は足関節だったんですが、練習ではそればかりやっていたんです。ジムの人にも足関節で決めるかも知れないと宣言していてうまく決まったので、やってきたことができたなという気持ちでした。自分は空手出身なので、打撃はもちろん得意ですが、寝技も自信がある。現在所属しているBRAVE GYMの宮田(和幸)先生がレスリングのオリンピック代表だったため、ジムのレスリング力のレベルが高く、その中で練習してきたので、どちらもできるという自負はあります」

 坂巻の入場曲はAKB48。ぱるること島崎遥香推しは格闘技界では有名だ。

「ぱるるのファンだって言っておけば、いつか会えるかなっていう淡い期待もあります(笑)。AKB48は中学校1年生の時から好きで、ぱるるが入ってきた時に、すぐにぱるる推しになりました。夢はチャンピオンとしてぱるるに会うこと。塩対応とか言われていますが、そこがいい。媚びてないというか、自分を貫き通して、周りに流されていないところがかっこいいなと。今度の総選挙? もちろんぱるるに投票しました(笑)。プライベートでの息抜きもライブに行ったり、暇があれば握手会にも。たまにオタクの仲間とオフ会もしています(笑)」

 そんな坂巻が今年中にやりたいこと。

「ベルトに挑戦して、ベルトを巻きたい。勝ち負けは分からないけど、とりあえず挑戦できるところまで持っていかないと。まだ若いので、今のうちにやっておきたいんです。勝っても負けてもいい経験になると思いますし。もちろん、チャンピオンは狙っていますよ。他団体でも10代でベルトを取るというのは、なかなかいないですし、それによりもっと注目されると思うので。そしたらまた1歩ぱるるに近づける(笑)」

 総合格闘技、また主戦場としているZSTの魅力。

「総合格闘技は寝技があるのが魅力ですね。立ち格闘技もすごいですけど、総合はグローブも小さいし、1本勝ちがある。また展開が早いので、見合っている時間があまりなく、攻防が多いので面白い。休める時間がなく、動いている時間が多いので見ていて飽きないと思います。また、ZSTは他団体さんよりスピーディーでアグレッシブな展開が多いと思います。試合内容や結果を見ても、1本勝ちやKO勝ちの試合が多いと思うので、格闘技を知らない人も楽しめるのではないでしょうか。自分はKOか1本勝ちを鮮やかに決めて、スカッと勝つ試合を見せたいです。1Rで勝つと“もうちょっと見たかった”って言われることもありますが、印象に残ると思うので。自分はフライ級のセンターを目指してますから(笑)」

長島昭久のリアリズム 国家と安全保障を考える(その六)

2015.06.07 Vol.644

 国会では、いよいよ戦後最大の安保法制改革をめぐる議論が始まりました。私も45名の与野党議員で構成される安全保障法制特別委員会の委員としてこの歴史的な議論に参画することとなりましたが、本コラムで前回までに辿って来た我が国の対外政策に関する近現代史の出来事を思い起こしながら、真剣勝負の審議に臨んでいます。

 さて、前回予告したように、今回から3回にわたって「靖国問題」について論じてみたいと思います。靖国神社の起源は、幕末の動乱で命を落とした勤王志士たち、とくに安政の大獄以来の徳川幕府による弾圧に斃れた同志たちの霊を鎮めるために行われた1862年の京都霊山における招魂祭にまで遡ります。そして、幕府権力への抵抗のシンボルとなっていた神道様式で追悼儀式を行うことで討幕への誓いを新たにしたとされます。(三土修平『靖国問題の原点』日本評論社、2005年)この招魂祭が、明治維新の後「招魂社」という神社となり、維新政府の手で明治12年6月に別格官幣社という社格を付与され「靖国神社」と改称されたのです。

 その後「昭和戦争」(満州事変、日中戦争、大東亜戦争/太平洋戦争の総称)を経て、今日では約260万余柱の英霊が祀られていますが、ここで大事なことは、靖国神社の本来の性格が「招魂」にあるという点です。心ならずも戦場に送られ尊い命を落とした兵士の魂が再び集まる場なのです。したがって、戦場に臨む兵士たちは、決死の覚悟を決め「靖国で会おう」と言って散って逝かれたのです。ですから、基本的に軍人といえども兵士を戦場へ送った将官クラスの人々は、どんなに武勲を挙げても、戦場ではなく「畳の上で死んだ者」として扱われ、靖国には祀られていません。それは、東郷平八郎元帥(日露戦争時の連合艦隊司令長官)であれ阿南惟幾将軍(終戦時の陸相)であれ同じです。

 しかし、戦後のある時期に、この靖国神社には、戦場に送られた人々ではなく、兵士を戦場へ送った戦争指導者たちが祀られてしまったのです。これが、極東軍事裁判(東京裁判)で判決を受け死刑執行された「A級戦犯」であり、「昭和殉難者」と呼ばれる人々なのです。この中には、軍人のみならず、本来靖国神社とは無関係であるはずの文民の廣田弘毅元首相・外相や平沼騏一郎元首相、松岡洋右元外相らまでもが含まれていました。1978年10月の出来事です。これは、東京裁判の不当性を訴える当時の靖国神社宮司松平永房氏の強引な合祀決断によるものでした。それは秘密裏に行われましたが、翌年の4月に新聞紙上でスクープされ、国民のみならず全世界が知るところとなったのです。(つづく)(衆議院議員 長島昭久)

鈴木寛の「2020年への篤行録」 第21回 今こそ中小企業から「バイパス型キャリアアップ」

2015.06.07 Vol.644

 この原稿が掲載される頃には東京は梅雨に入っている頃でしょうか。学生の就職活動もいよいよ佳境を迎えていますが、就職情報会社の調査では、7月までに実質的な内定を出す企業が6割を超える見通しだそうです。

 今年は空前の「売り手市場」とあって、企業側は優秀な人材確保に懸命です。特に中小ベンチャー企業は、大手企業に人材を取られまいと囲い込みに入り、あとで内定を辞退されることも覚悟の上であえて早めに内々定を出す動きが報じられています。先日、経済誌系のウェブメディアの連載で、こういう状況だからこそ中小ベンチャー企業は、たとえば浪人や留年等の累計年数が2年を超えるような学生であっても能力本位で見定めるべき、工夫を凝らした採用戦略を採るべきだと提言させてもらいました。

 さて一方の学生のほうはどうでしょうか。一時期、「意識高い系」という言葉がネット上で流行し、起業志向やベンチャー企業を目指すような若者を揶揄する言説もありましたが、昨今の就活市場に目を向けると、知名度もブランドもあり、待遇もいい大手企業が採用枠を増やしてしまえば、学生の大手志向がますます固まっていくのではないでしょうか。今春発表された人気就職ランキングの記事の類を見ていると、上位10社には銀行や証券会社、最大手の旅行会社等が名前を連ねており、よく言えば「堅実」、悪く言えば「安住」志向が変わらないと感じます。
 手前味噌ながら、私の歴代の教え子たちは、そうした学生たちとは一線を画して就活に臨んでいました。おかげさまで日本を代表する社会起業家、大手ネット企業の経営陣として活躍し、有名雑誌の特集「日本を元気にする若者100人」で名を連ねるような卒業生も多数います。彼らの中には、卒業前後から学生ベンチャー、スタートアップ、NPOを起業する人もいましたが、マスコミを始めとする大企業に入るにしても将来的にはリーダー型人材として力を発揮するため、戦略的にキャリアアップをしています。

 30代でリーダー型人材として活躍する教え子たちの多くは、20代から「非定型業務」つまり決まりきっていない仕事に全力で取り組んでいます。リーダーになる人材は①新しい仕事や仕組みをクリエイトする ②既存の仕組みでパターン認識できないことを判断しなければならない ③リスクマネジメント(想想定外のトラブル等に対応する)——の3点に対応しなければなりません。社会人としての基礎を学んだ上でのことや、クリエイティビティーが必要とされる業界や職種に関してではありますが、20代後半になっても、与えられた仕事(定型業務)をこなすだけでは、マネジメントする側に回る時の素養が身につきません。

 私の教え子で大手広告代理店に入社したA君は、当初、地方支社に配属されました。東京の華やかな舞台で活躍する同期に焦りを感じたこともあるようですが、支社長の「かばん持ち」として上に立つ人間の一挙手一投足を、仕事を通じて学び、支社の小さい所帯にあって業務の全体を見通す知見を得ました。早いうちに部下を持つことも人の動かし方、コミュニケーションの術を学ぶ機会にもなりました。その後、着実に実績を積んだ彼は、後年、会社が新規事業の子会社を設立する際、社内公募に合格して同社の社長を30代前半で任されるまでになりました。また別の教え子は中小企業でプロジェクトのマネジャー経験を積んで大手企業に転職。転職先の生え抜きの同世代よりも早く役員に抜擢されるという「バイパス型キャリアアップ」を果たしました。

 同世代の多くが人気のある大手企業に目を向けている中、綿密な企業分析・情報分析を行って、あえて逆張りで、有望な中小ベンチャー企業に飛び込み、将来を見据えたキャリアアップをする選択肢もあっていいのではないでしょうか。イノベーションは、型破り、非定型の発想から生まれるのだと思います。

(東大・慶応大教授、文部科学大臣補佐官)

ノッポン弟オススメ! from TOKYO TOWER
「東京タワー 天の川イルミネーション」がいよいよスタート!

2015.06.07 Vol.644

 毎年夏恒例の七夕特別企画「天の川イルミネーション」が始まったよ! 

 天の川を表現した青色と白色のLED電球が輝く大展望台は、すっごくロマンチック。星空の中に浮かぶ赤い織姫と白い彦星を見ていると、時々流れ星が現れるんだ。そんな流れ星を発見したら「七夕はお天気になりますように」って思わずお祈りしちゃった。だって1年に1回しか会えないなんて、かわいそうだと思わない? 窓の外はイルミネーションの光が窓ガラスに映りこんで、その下に東京の夜景が広がっているから、自分が天の川の中にいるような気持ちになるんだ。っていうことは僕が彦星? そして織姫はお兄ちゃん…なわけないよね(笑)。

 そして昨年大好評だった600段の昇り外階段のイルミ装飾を今年もやるよ。今年は下り階段にも青色のLED電球を装飾しているので階段を昇っていると、ずーっとお星様に囲まれているみたいな気持ちになるんだよ。すっごく幻想的な雰囲気の中、天の川に1番近い展望台に到着! きれいだったなぁー。毎年大好評で、夏の風物詩とも言われている天の川イルミネーションは、8月31日までやっているから、みんなも大好きな人とたくさん遊びに来てね!

今日も食べ過ぎ東京グルメ探偵 スエヒロガリ(中目黒)

2015.06.07 Vol.644

おいしいものがあると聞けば、調査に行かずにはいられない「東京グルメ探偵」。メタボを気にしつつも食べ過ぎてしまうのがたまにキズ。さて、今日のタレコミは…?

江戸瓦版的落語案内[番外編]柳家喬太郎スペシャルインタビュー

2015.06.07 Vol.644

 人気、実力とも日本トップクラスの落語家・喬太郎が、6月24日に、女優としても活躍する劇作家で演出家の千葉雅子と落語会「きょんとちば」を開催。2人の共演は4年ぶりだが今回は喬太郎が千葉の書き下ろす「サソリのうた」を、千葉は古典落語「反対俥」を口演する。普段は自身でも新作落語を創作する喬太郎だが、千葉の書く脚本は?

「具体的には表現しづらいですが、落語とは圧倒的に肌触りが違いますね。前回書いていただいた『マイノリ(マイノリティの意)』もそうでしたが、落語だから落語にしてやろうっていう本を書いてこない。その落語っぽくないところがいいですよね。もちろん落語の体というか、一人喋りの脚本ではありますが、ある意味演劇の脚本っぽいところがあって、それがものすごくいいし、うれしいんです。もちろん無茶なことは書いてない。上手から登場とか(笑)。いい意味で落語に寄ったものになっていなくて、だからユニークで素敵な作品になっているんだと思います」

 4年前に開催した二人会が大評判で、再びタッグを組むことになったこの二人。喬太郎は劇作家の書いた脚本をどう演じるのか。

「どう表現しようかとかは考えますが、僕らにない感性だったりするので、それを生かして演じたいとは思います。僕は落語家ですから、いい意味で落語にする作業は必要ですが、さっきも言いましたが、落語に寄った本ではないので、全部直しちゃったら意味がない。だからそれをせず、この脚本の良さを生かせれば。千葉さんとは同世代で、似たような精神構造を一部持っていて、似たような青春時代を送ってきた気がするんです。前回の『マイノリ』も“僕の青春時代を知っているんですか?”って思うような話でしたし。だからその話ができる喜びと、よくぞ書いてくれたという感謝と、この本をできるのは自分しかいないという自負があったんです。今回はさらにエンターテインメントに特化したものになるんじゃないでしょうか。すごく楽しみです」

 普段の落語の会とは違い演劇ファンも楽しみにしている。

「もちろん、僕をご存知ない方もたくさんいると思います。そういう時にどういうことができるのか。媚びる必要はないけど、突っ張る必要もなくて、こういうものを提示しますって素直にやるしかない。僕たちは常にお客様のほうを向いてないといけない商売ではありますが、今回の場合はあえてお客様に向かない部分を作らないと、表現ができないような気がします。その結果、お客様にどういうものを持ち帰っていただけるかっていうことなんでしょうね。なんかね…今回の話は女性ばかりが登場するんですけどね、無性に“あたい”って言いたい(笑)。一人称の“あたい”。やさぐれちまった昭和の映画のような。絶対、あたいって言ってやるんだ、俺! 今はそんな気持ちです(笑)」

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第40回 マグロック復活! ダイノジがフェスをやります

2015.06.03 Vol.643

 毎日暑いですね。もう、夏。夏といえば夏フェス。ビッグフェスの出演ラインアップも充実してきてフェスムードが高まってきました。そんななかで、『キキマス!』でもお知らせさせていただきましたが、ダイノジ、野外フェスをやります。場所は静岡の清水マリンパークで、日程は10月3・4日の2日間。1日目が『マグロックフェスティバル2015』、2日目が『フジソニック2015』。つい先日情報解禁になったんだけど、「マグロックってなんだよ…!」「フジソニックっていったいどっち?」なんて、SNSでは話題にしてくれて、すごくうれしいです。……だって、これ、リベンジだから。

 僕ら8年前に野外フェス「マグロックフェス」をやってるんです。同じ静岡の、同じ場所で。当時は、単純に野外フェスをやりたくて、当時の最高のメンバーに出てもらって。豪華だったんですよ……。でも、大赤字。僕の最初の挫折です。それから大地さんと僕は小さなイベントにいっぱい出演するであるとか、たくさん働くことになりました。そのうちフェードしようなんて思ってたDJだって、辞められないじゃんってことになりました。その記憶があるから、どんなことにせよ話題にしてもらえることがうれしいです。

 今回のフェス、静岡朝日放送さんと一緒にやるんですが、話を聞いたのが去年、おととしぐらいだったかな。ダイノジ20周年でいろんなことをやってきたのもあるし、この7年間でいろいろ経験してきたなかで、今、僕らがやりたいって思うことなんですよね。例えば、元気づけたいって復興地に行きます。だけど、もう地元の人たちは他から人を呼んで盛り上がろうって、自分たちでコンテンツを作っているんです。これって復興地だけのことじゃなくて、他の地方に行ってもそういった時代の流れを感じます。だったら、ダイノジもそれになりたいなって。漫才でも、DJでもなんでもいいから、盛り上がろうっていう人たちと一緒にやりたい、お手伝いしたいと思っていろいろやってます。

 さて、フェスに話を戻しましょう。マグロックには、キュウソネコカミ、Fear,and Loathing in Las Vegasといった僕らがいま見てほしいと思っているバンドが中心のラインアップ。2日目は静岡出身の電気グルーヴ、静岡育ちの吉井和哉さんと、静岡にゆかりのあるアーティストを軸にした少し大人のロックフェス。もちろん、DJダイノジは2日間とも出演します。出演アーティストは今後もどんどん追加されていきます。まだすごい人が控えてますから楽しみにしていてくださいね。

大谷ノブ彦 カタリマス! 第13回 みなさんの代わりにお話を「キキマス!」。

2015.05.25 Vol.643

 すげーことが起きました。僕、あの沢口靖子さんとしゃべったんですよ。『澪つくし』の沢口靖子さん、『科捜研の女』シリーズの沢口靖子さん、第1回東宝シンデレラガールの沢口靖子さんですよ! 僕らの世代にとっては、もう、お姫さまのような方です。そんな沢口さんと、お話できるなんて! 10代のころの自分に自慢したい。

 あこがれの沢口さんにお会いできたのは、もちろん『キキマス!』をやっているからです。沢口さんには25日に登場していただきますが、先ほど挙げた出演作品やご自身のこと、そして最新舞台の『台所太平記』(明治座、6月4日〜)のことなど、いろいろなお話を伺いましたので、放送を楽しみにしていてください。

 沢口さん、本当に素敵な方です。おきれいなのはもちろんなんですが、僕がイジられたら、それをたくさん笑っていただいて。うれしかったなあ。大阪のご出身ですから「笑い」との距離もすごい近いのかな。楽しかった。最後にはちゃっかり、握手までしてもらっちゃいましたしね(笑)。この手の感覚が残っているうちに、舞台も見に行こうと思っています。

 沢口さんはもちろんですが、『キキマス!』をやっているなかで、あこがれの人であるとか、俳優や女優さん、ミュージシャン、芸人、いろいろな方のお話を伺えるのは、とっても光栄なことです。どなたとお話していても「おもしろい」って思うことばかりですし、楽しいんです。

 こうやって番組を通じてお会いしてお話すると、普段よりもずっと話ができるような気がします。例えば、ミュージシャンの方々。仕事以外で話す場面はたくさんあるんですけど、そういうところでは僕、全然話さないんですよ。というか、話せない。何を話していいのか分からない。だからミュージシャンの友達っていないんですよね。芸人のなかにはすぐ友達になっちゃう人もいるけど、僕にはそれができないんだなあ。でも、それが番組で話すとなると別の話で、いろいろ話したくなっちゃう。仕事だからっていうのもあるんだろうけど、それだけでもない。僕はきっと、「たくさんの方に聴いてもらうために誰かの話を聞く」ことが好きなんだろうなって思います。自分のなかに留めておくんじゃなくて、外へっていう。それに聴いていただくためってなると、話す相手も、うざいような愛情を受け止めてくれるところもあると思うしね。

 これからも、みなさんの代わりに、いろんな方のお話を聞いていきたいと思います。

小池百合子のMOTTAINAI
ADB v.s. AIIB 透明性で競い合え

2015.05.24 Vol.643

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本は出資すべきか、否か。バスに乗り遅れては、取り残されるのではないか…。
 依然、AIIBについての話題が続いています。

 5月10日の読売新聞では、日本政府が米国と共にAIIBへの参加を見送っていることを「適切だ」と思う人が73%に達し、「そうは思わない」の12%を大きく上回ったと世論調査の結果を伝えました。

 出資に「反対」とする友人の金融関係者は、その理由に「利益相反」をあげます。理由はこうです。

 銀行を作ろうと意気込む中国は、そもそもアジア開発銀行(ADB)からの最大の借り入れ国です。ADBの融資先の四分の一が中国向け。インドを加えると全体の半分にあたります。ADBの運営に発言権が十分反映されていないことを、中国はAIIB設立の理由に挙げていますが、借り手側の発言権を強めることそのものが「利益相反」だというのです。

 AIIBの主な投資先は、中国国内のインフラ整備か、中国にとって戦略的な国とみられ、これまた金融やガバナンスの観点から「利益相反」にあたると…。

 信用力の高いADBから低利で資金調達をし、AIIBで中国や他のアジア諸国へ融資するなら、これ以上の「利益相反はない」と憤ります。
 そもそも中国は、ぜい弱な開発途上国へもゆるい条件で融資を行って感謝され、少々支払が遅延しても、「待ってあげる」と感謝され、いよいよ返済不可能となれば、「しかたないね」と許し、泣いて感謝される…。かくしてその国は中国の下僕となり下がると厳しく見る人もいます。「それこそ投資ですよ。金融というより、国防予算で扱うのではないですかね」とも付け加える。

 これでは金融機関として重要な「継続性」が疑問視され、重要な債券発行で行き詰まるでしょう。格付けにも影響します。さらに、AIIBへの返済とADBへの返済と、どちらを優先するかも問題になってきます。

 ODA(政府開発援助)においてもいわゆるひも付き論が批判されますが、ADBで日本企業が落札する率は1%程度。日本企業が優遇されるわけではありません。

 むしろ、それこそが日本にとっての問題です。入札では高い日本製品や技術が採用されず、安い新興国へとチャンスが流れてしまうのです。よい製品や確かな技術力があっても価格、コストの国際競争力で日本が負けてきたことに他ならないのです。
 つまるところ、ADBの役割をあらためて認識しつつ、透明性や環境状況などでAIIBと競い合う。これが日本としての務めではないでしょうか。(自民党衆議院議員)

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