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人生について考えてみる もたい村「タイトルロール・ワズ」

2019.06.17 Vol.719

 舞台、映画、ドラマにCM、ナレーションと幅広く活躍中の女優・もたい陽子。最近では貴重なバイプレーヤとしてその存在感を高めている。

 そんなもたいが40歳を前に「自分で芝居を企画してみよう」と思い立ち、女優の菊池美里の協力を得て立ち上げたのがこの「もたい村」。

 旗揚げ公演にはくによし組の國吉咲貴を作・演出に迎え、もたいが信頼する俳優たちを集めた。

 物語の舞台はおとぎ話に出演する俳優たちが所属する、おとぎ話プロダクション。そこにいる元主役は、継母役も通行人役も嫌がり、女優人生の崖っぷちに立っていた。そんな彼女の目標はただ一つ「主役がやりたい」ということ。「誰もが人生の主役!」なんて綺麗ごとが通じない大人たちのほろ苦おとぎ話。

 おとぎ話とは言いつつも、「これってもたい自身のこと?」と思わせられるような内容にドキッとしたり、40歳を迎えるもたいの覚悟がちらちらと見えたり?

 芸達者の共演者はもとより、日替わりゲストも多種多彩。どうやら通常よくある日替わりゲストの枠を越えた台詞量も要求されているようで、ゲストのファンにも見ごたえ十分の作品に仕上がっているよう。

 また21日の15時からは菊池美里による一人芝居『ベットタイム・ライフ』(作・演出 國吉咲貴)が上演される。

人生について考えてみる「錆色のアーマ」―繋ぐ―

2019.06.07 Vol.719

 2017年に上演され人気を博した舞台『錆色のアーマ』の新作公演がついに開幕した。初演に続き、佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)と声優の増田俊樹のW主演で、佐藤は鉄砲ひとつで名乗りを上げた孫一(まごいち)、増田は織田信長を演じている。

 戦国時代に天下統一を目指す男たちの姿を描く。本能寺で、雑賀衆たちと信長は炎によって分断されてしまった。炎の中ひとり佇む信長のもとに、人ならざる影が現れる。すべてを奪われてしまった信長は、薄れゆく意識の中で、孫市の青い瞳の記憶をたどっていき……。

 舞台の主題歌は、FANTASTICS from EXILE TRIBEの新曲「Tie and Tie」。本作のために書き下ろされた楽曲で、“繋ぐ”という言葉をテーマに、希望と絶望が隣り合わせのなかで真実の歴史がつながり始める「錆色のアーマ」の世界に寄りそった楽曲になっている。

 また、本公演に合わせて、舞台からのコミカライズも実現した。前代未聞の逆2.5次元作品としても話題を集めている。
 東京公演に続き、愛知公演(岡崎市民会館あおいホール、22・23日)、大阪公演(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、27〜30日)もある。

城田優が主演するブロードウェイミュージカル『ピピン』

2019.06.04 Vol.718

 城田優が主演するブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版が、いよいよ開幕する。

 悩める若き王子ピピンが、美しくカリスマ的な“リーディングプレーヤー”率いるアクロバットサーカス一座に誘い込まれ、「特別な何か」を探し求める旅に出る。そのなかでさまざまな人たちに出会い、物語が展開する。

 ブロードウェイ屈指の名作ミュージカル。1972年にボブ・フォッシーによる演出と振付で初演され、1977年までロングラン上演したミュージカル。2013年にはダイアン・パウルスによって新演出版が発表され、トニー賞を4部門で受賞している。

 日本語版の演出は、そのダイアン・パウルスを筆頭とした『ピピン』のクリエイティヴ・チームが担当。新演出版は、ボブ・フォッシーのスタイルを踏襲した刺激的なダンスと、シルク・ドゥ・ソレイユ出身のアーティストが手掛けたサーカスアクロバットを大胆に取り入れ、これまでにない新しいミュージカルエンターテインメントになっていたが、日本版はブロードウェイの演出を基盤として、日本人向けながらブロードウェイのテイストを残したものになるという。

ゲキ×シネ『髑髏城の七人』の夏の陣! 6月から新旧6作を上映

2019.05.24 Vol.Web Original

 劇団☆新感線の『髑髏城の七人』シリーズが映画館に登場する。6月からシリーズ新作と旧作の全6作品を新宿バルト9ほか全国12の映画館で上映する。

 ゲキ×シネ『髑髏城の七人』2019年夏の陣と題して展開される企画。360°回転シアター、IHIステージアラウンド東京のこけら落とし公演として上演された『髑髏城の七人』の最新作 Season 花・鳥・風に、『髑髏城の七人~アカドクロ』、『髑髏城の七人~アオドクロ』、『髑髏城の七人 2011』を加えた6作品。

《ゲキ×シネ》は、劇団☆新感線の話題作を映画館で上映するもの。作品ごとに映像版の監督を擁立し、映像はスクリーン向けに新たに編集。音声も劇場向けにリミックスされて、映画館の大スクリーンと高音質で最大限に舞台の魅力を味わえるのが特徴。
 
 現在、シリーズ新作の、花・鳥・風・月(上弦の月/下弦の月)、極(『修羅天魔』)は、ゲキ×シネにて上演中。

太宰治作品をモチーフにした演劇公演第15回 日本のラジオ『カケコミウッタエ』

2019.05.24 Vol.718

 三鷹市芸術文化センターの「MITAKA “Next” Selection」に並ぶ名物企画である「太宰治作品をモチーフにした演劇公演」。今回は「日本のラジオ」が太宰の『駈込み訴え』をモチーフとした作品を上演する。

「日本のラジオ」は作・演出の屋代秀樹の描く猟奇事件やオカルトをモチーフとした会話劇に定評があり、その鋭いセリフとオリジナリティー、そして緊張感のある演出で今、注目を集める劇団だ。

 原作は昭和15年に発表された、全編にわたり一人称独白体で書かれた短編小説。ユダを主人公とした視点となっており、イエス・キリストへの愛憎が渦巻き、激しく揺れるユダの心情をよどみない筆致で描いた傑作。

 今回は舞台を現代に置き換え、群像劇に仕立て上げる。物語では代表の死をきっかけに結束を深めるある団体の中で、その状況に納得のいかない主人公の鬱々とした心情や周囲の人々との人間模様が描かれる。物語を通して「宗教」や「組織」にまつわる問題も浮かび上がってくるという。

もがいた男の生きざまを描く LiveUpCapsules『軽佻浮薄な謀反を起こせ』

2019.05.20 Vol.718

 LiveUpCapsules は2002年の旗揚げ以来、全公演で多面舞台(多面客席)の舞台作りを継続して行っている。これは舞台と客席との垣根を取り払い、同じ空間にいる意識を共有することで観客の心を動かし、物語をうねらせ、劇場全体を巻き込んだ異空間を作り出すことを目的としたもの。

 確かに通常の劇場の作り、いわゆる舞台がありその正面に客席があるといった環境での観劇に慣れている者にとっては多面舞台の公演は劇場に入った段階から緊張感とワクワク感が増幅。そこからすでに作品に取り込まれてしまっている人も多いのでは。

 作・演出を務める村田裕子は2010年からは日本の歴史を題材にし、今の日本に通じる問題を抉り出すような作品を作り続けている。彼女が今回選んだのは「映画」。

 敗戦の傷跡が癒えぬ日本で小津安二郎、溝口健二、黒澤明、木下恵介といった巨匠たちが腕を競う中で、自らを「日本軽佻派」と称し不治の病を抱えながら映画を撮っていた男がいた。戦後の日本の映画界に実在した映画監督とその代表作の撮影時の実話をもとに、生きることにも、その表現にももがいた男の生きざまを描く。

風煉ダンスが新作音楽野外劇。今度は福井県の棚田に舞台を設置

2019.05.17 Vol.718

 演劇集団「風煉ダンス」が福井県小名浜市で開催される「内外海田烏 海のステージ2019」で新作野外音楽劇を上演する。

 同イベントは若狭湾沿岸で暮らしてきた人々の「歴史」と「今」を引き受け「未来」を描こうという趣旨のもと、「ここが舞台だ。」をキャッチフレーズに田烏(たがらす)集落の棚田、路地、漁港、蔵、神社、旧小学校などをパフォーマンスの場として5月24日〜6月2日まで開催される。

 風煉ダンスは今回、若狭湾に面した小浜市田烏の絶景の棚田に舞台を設置。現地の人と高校生合わせて数十人も参加して野外音楽劇『魚人喜譚−さかなびときたん−』を上演する。

 物語の舞台は田烏の浜。そこにたどりついた旅役者の一座と土地の者とのさまざまな出来事を通じてこの世の「奇妙」と「人情」が織りなす不思議な物語が描かれるのだが、旅の一座の姿はまさに今回の彼らの姿?

 風煉ダンスの作品は叙情性とバカバカしさに満ちた荒唐無稽なストーリーを展開しながらも、現代社会に生きる者たちへの社会的な問いかけを内包する。

 見る者は笑いのそばにある苦しみや悲しみ、そして怒りに気づいたときに自分が現実と虚構の塀の上に立っていることに気づかされる。今喋っているのは劇中の出来事なのか、それともリアルな世界での出来事なのかと…。

 また彼らの作品は、野外劇では特に大掛かりなセットや巨大な人形といった壮大なスケールの美術も特徴。それゆえに制作費も多額になる。
 本作も当初は東京公演も予定したもののそういった資金的な問題から小浜公演のみになった。しかし小浜まで来られない人のためのDVD製作や、そもそもの舞台製作費、現地までの交通費や滞在費といった諸経費を賄うためにクラウドファンディングを立ち上げている( https://motion-gallery.net/projects/furendance-obama )。こちらも彼ららしいさまざまなリターンが用意されている。

喜安が今作で選んだテーマは「芸術家になること」ブルドッキングヘッドロック『芸術家入門の件』

2019.05.16 Vol.718

 ナイロン100℃の劇団員であり、脚本家としては映画『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞の優秀脚本賞を受賞するなど多方面で活躍する喜安浩平。その喜安が主宰するブルドッキングヘッドロックが2000年の旗揚げから今回で30回目の本公演を迎える。昨今、ユニットという形の劇団運営が多い中、劇団員が21名という大所帯で、喜安を含め劇団員が外部での活動などで徐々に時間が取れなくなるなか旗揚げ以来ほぼ毎年、作品を発表し続けるのは並大抵の努力ではできない。

 喜安が今作で選んだテーマは「芸術家になること」。

 主人公は創作に迷う鳴かず飛ばずの60代の芸術家。大金とわずかな名声に飛びつきうっかり新しい依頼を受けてしまうのだが製作は一向に進まない。そんな時、街で「芸術家入門」の看板を発見し、ここでもうっかり足を踏み入れてしまうのだが…。

 資格でも称号でもない「芸術家」という肩書の意味を、自ら「芸術家志望」という喜安がブルドッキングヘッドロック流のおかしみをもって問い直す。

3年前から毎月開催。完売必至の名物イベント「根本宗子の面談室 VOL.37」

2019.05.15 Vol.718

 月刊「根本宗子」の主宰を務める根本宗子は劇作家で演出家、そして女優であり、ちょっと前まではラジオパーソナリティーを務めるなどさまざまな顔を持つ。

 そんな根本が2016年5月から毎月欠かさず新宿・歌舞伎町のロフトプラスワンで開催しているのがトークライブ「根本宗子の面談室」。5月31日の開催で丸3年、回数も37回を数えることになった。

 この「根本宗子の面談室」は根本宗子が「今、一番話したい人」をゲストに迎えてトークを繰り広げるイベント。

 第1回の生ハムと焼うどんに始まり、これまでメジャーだろうがインディーズだろうが、男だろうが女だろうが、人数も1人だろうが大人数だろうが、細かいことは一切考えずに、根本はひたすら話したい人と思う存分話してきた。

 面談するつもりが、されてしまったこともしばしば…。公の場ではなかなか見せない顔が見られることもちょいちょいあって、根本ファンにはたまらないイベントになっている。

 根本は普段は主に「インタビューされる側」の存在なのだが、数少ない「話を聞く側」に回ることのできる時間とあって、ここぞとばかりに繰り出す鋭いツッコミに言ってはいけないことを思わずポロリしてしまうゲストも多いことから基本的には「ノーツイート、ノーSNSのココダケノハナシ」というルールで開催されている。

 もっとも本人のポロリが一番ヤバいという説もあるのだが…。

 今回のゲストは放送作家の寺坂直毅氏。人気ラジオ番組の構成作家で、紅白歌合戦や徹子の部屋の知識も豊富で、とさまざまな引き出しを持つ寺坂氏とはどんなトークが繰り広げられるのか…。

 チケットは残りわずか。当日券も出る予定とのこと。

松たか子「怪しいものや信用ならないものを面白がる人がいて伝統になった」

2019.05.10 Vol.Web Original



 東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアード「東京キャラバン」の記者懇親会が10日、都内にて行われ、総監修を務める演出家の野田秀樹と、過去開催に参加した女優の松たか子が登壇。過去開催の映像を交えて見どころや意義を語り、今後の展望について語った。

「東京キャラバン」は東京都および公益財団法人東京都歴史文化財団が2020年に向けて、芸術文化都市東京の魅力を伝える取り組み「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の主要プログラムとして行われている文化プロジェクト。各地をめぐり、多種多様なアーティストが違いを超えて文化“混流”を繰り広げる。女優の黒木華やタップダンサーの熊谷和徳、チャラン・ポ・ランタンら著名なアーティストや文化人も数多く参加している。2015年にスタートし2017年度から東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアードのひとつとなっている。

関連作品も上演 第3弾改訂版『埒もなく汚れなく』

2019.05.01 Vol.717

 オフィスコットーネでは2009年に不慮の事故により48歳の若さで亡くなった劇作家・大竹野正典さんの作品を多く上演してきた。

 この『埒もなく汚れなく』は劇作家で演出家の瀬戸山美咲が大竹野さんの人生を描いた作品で2016年の読売演劇大賞上半期の作品賞、演出家賞、男優賞にノミネートされた。今回はその作品を大幅に改訂して上演する。

 物語の中では大竹野さんの作品の中でも最高傑作とされる最後の作品『山の声』に至るまでの大竹野さんの軌跡を追いながら演劇に憑かれた劇作家・大竹野正典と山に憑かれた登山家・加藤文太郎の重なる生きざまを描くのだが、今回はその『山の声』も5月17〜19日に下北沢のGEKI地下リバティで上演する。こちらは2009年の初演時の大竹野さんの演出で戎屋海老と村尾オサムというオリジナルキャストでの上演となる。

 2作品合わせて見ると大竹野さんの世界により深く没頭できそう。また『埒もなく−』では11、13、14、17日19時の回に、『山の声』では18日18時の回にアフタートークが用意されている。

【日時】5月9日(木)〜19日(日)(開演は平日19時、土14時/18時、日14時。※14日(火)は14時の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】シアター711(下北沢)
【料金】全席指定 お得チケット 前売・当日4000円(10日夜と14日昼のみ)、一般 前売・当日4500円/「山の声」との2作品通し券 前売のみ7300円(コットーネのみ取り扱い。5月7日までの予約に限る)、シードチケット(25歳以下)前売・当日とも3000円(枚数限定あり。コットーネのみ取り扱い。受付にて年齢確認あり)
【問い合わせ】オフィス コットーネ
(TEL:070-6663-1030[HP] http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/ )
【作・演出】瀬戸山美咲【プロデューサー】綿貫 凜
【出演】西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)、占部房子、柿丸美智恵、緒方晋(The Stone Age)、福本伸一(ラッパ屋)、橋爪未萠里(劇団赤鬼)、照井健仁

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