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業界最大のタブーからあなたと家族を守る

2014.07.20 Vol.622

 食のプロや業界関係者の間で「食品業界を知り尽くした」と言われる男が外食、中食産業の衝撃の「裏側」を暴露。ファミレスや居酒屋、回転寿司などのチェーン店に覆面調査に行き、リポートした結果なども掲載。例えば、某大手ファミレス・チェーン店のハンバーグにはリン酸塩、植物性蛋白、PH調整剤、乳化剤、着色料、グルタミン酸ソーダなどが入っているという。ビーフ100%と言いながら、ほかの肉も混ぜられているかも知れないと指摘し、さらに植物性タンパクを入れ、かさ増しし、そのせいで白っぽくなったものを着色料で肉の色に近くしていると言う。読んでいるだけで気分が悪くなってしまいそうだが、確かにコンビニ弁当のラベルを見ると、著者が指摘したようなものがたっぷりと…。コンビニ弁当などの場合は表示義務があるが、外食や中食ではそうはいかない。大手ファミレスや居酒屋では、専用のセントラルキッチンに食材が集められ、下ごしらえされ、加工調理し、各店舗に半調理済みメニューが運ばれている。それを各店舗で温めたり、解凍したりするだけで提供している。サラダなどは、カットしてから使用するまでに時間がかかるため、次亜塩素酸ソーダの液で洗浄・殺菌されたカット野菜を使用している店も多いとか。読後、外食や中食のメニュー選びが劇的に変化するだろう。ちなみに、「いい店」「おいしい料理」紹介や見分け方も解説しているので参考にしてみよう。

突然襲った不眠、幻聴、妄想−本当に精神疾患なのか?

2014.07.05 Vol.621

 目が覚めると拘束服を着せられ、ベッドに固定されていたスザンナ。頭にはプラスチックのワイヤーがつながれ、手首には「逃走の恐れあり」と書かれたビニールバンドが…。それはある朝突然だった。ニューヨーク・ポストで記者として働いていたスザンナは、24歳の時、体に異変を感じた。最初はダニに噛まれただけだと思っていたが、やがて体が痺れ、幻聴や幻覚を体験する。さらに口から泡を吹き、全身を痙攣させる発作にも見舞われるように。病院に行くと、精神疾患と診断され、てんかん、双極性障害、統合失調症などの治療をするも病状は悪化する一方。病名も分からず、原因も不明の症状に家族は疲弊し、医師らも打つ手なしの状態。その時、治療チームに加わったある医師が、入院していたニューヨーク大学では前例のない病気であることを発見。治療が施される。入院中の記憶がほとんど抜け落ちていた著者が、記者魂を発揮し、正気と狂気の境界線を行き来していた日々を、医師や家族への聞き取り調査、医療記録や家族の看病日誌、また病院のカメラで撮影されたビデオカメラの映像から記事にした完全ノンフィクション。217人目の患者となった彼女は、ニューヨークという大都会で、最新の医療をしても見つからなかったその病気でどれだけの人が精神病院などに入院させられ、治療の機会を失っているのかと危惧する。同書は、そんな患者や家族にとり、希望の光にもなるだろう。

父から息子への愛情を、いつも弁当が運んでくれた。

2014.06.21 Vol.620

 TOKYO No.1 SOUL SETや猪苗代湖ズで活躍する、ミュージシャンの渡辺俊美が、一人息子のために、作り続けたお弁当の写真をエッセイとともに綴る。

 離婚し父子家庭となった著者は、高校に合格した息子に「お金を渡すから自分で好きなものを買うか。それともパパがお弁当を作るか。どっちがいいの?」と聞くと、息子が「パパのお弁当がいい」と答えた時から、3年に及ぶお弁当作りがスタートした。「3年間、毎日お弁当を作る」ということを目標に交わした男と男の約束。

 二日酔いの朝も、ツアーから帰ったばかりの日の朝も、早く仕事に行く日の朝も、休むことなく作り続けた記録がこの本に詰まっている。地方に仕事に行った時には、その土地の名物や調味料を探すなど、お弁当を作っている時間以外も息子のことを思う父。ページをめくるごとに、お弁当の内容と盛りつけのクオリティーが上がっていくのが分かるのが微笑ましい。お弁当についての一言コメントとエッセイの他、お弁当作りのコツや調味料や道具、料理を学んだ本などのコラムも楽しい。高校生活を締めくくる、461個目のお弁当は果たしてどんなお弁当なのか。その目で確かめて見てほしい。親子の愛がいっぱい詰まったお弁当の写真を見ているだけで、心が温かくなるお弁当本の名著が誕生した。

腸内細菌70%日和見菌を味方につける!

2014.06.08 Vol.619

 最近“腸内環境を整える”とうたった商品や、その重要性を解く本などが多く出版されるなど“腸”は健康に大きく関わっているらしい…と認識されつつある。著者は腸や便の研究で知られ、メディアでも注目されている「うんち博士」こと辨野義己。腸には「第二の脳」があり、脳同様、感情や判断を司る非常に賢い臓器なので、腸内環境を良好にし、免疫力を高めることで健康につながると言う。同書では、正しい腸内環境の改善を行い健康的な生活を送る方法として、腸内細菌のバランスの整え方や、腸内細菌がよろこぶ生活習慣、がんやインフルエンザ、花粉症、老化、うつ病などの予防法、腸の常識・非常識について解説。大腸がんになるかは、「10年前の食事が決定づける」と言われている。それは「10年前の食事が、今の腸年齢を決めている」ということでもある。「10年前、ろくな食事を摂っていなかった」という人でも遅くはない。「今の食事が、10年後のあなたの腸の状態を決める」からだ。簡単に腸内環境を整える改善方法も多数紹介。今すぐ実践して“美腸”を取り戻そう。

日本がなくなってはじめて分かる、ここがスゴイ!

2014.05.24 Vol.618

 日本が消えたらどうなるのか? そんなことは考えたこともないけど、そんなに影響がないかも…と思った方、この本を読んだら、その考えが大きな間違いだとういうことに気づくだろう。日本はいろいろな分野で結構派手に、あるいはひたすら地道に世界への大きな影響力を持つ国なのだ。どんなに有能な社員が会社を辞めても、それでも会社は普通に回っていくように、日本がなくなっても別の何かがどこからか穴埋めしてくれるだろう。しかし、その穴はとてつもなくデカいと著者は言う。普段は取り立てて突出していると感じることのない事でも、実はすごいことをして世界の国々を支えているのだ。高級ブランド消費大国としての日本の経済力、ボーイング787の全体の3割を日本で作っているという技術力、漫画やアニメといった文化力はなんとなく分かる。それ以外にも身近すぎて意外に気がつかないことも多い。例えば、圧倒的にハイレベルな日本製の紙おむつ。これがなくなれば、世界中の赤ん坊は毎日泣き叫ぶことになるのではと心配される。モノ以外にも日本人や日本人気質が消えたらどうなるかなど、概念や事象からのアプローチも興味深い。

お前の人生も、破滅させてやる!『「ストーカー」は何を考えているか』

2014.05.11 Vol.617

 著者は、ストーカー問題をはじめDVなど、あらゆるハラスメント相談に対処するNPO法人「ヒューマニティ」の理事長で、これまで500人以上のストーキング加害者と向き合ってきた専門カウンセラー。ストーカーの心理と行動、思考パターン、危険度、実践的対応をこれまで手がけた事例とともに説明する。ストーカーをめぐるトラブルは年間2万件も起きているというが、殺人という最悪のケースに至るケースは後を絶たない。難しいのは、ストーカーは決して一括りには考えられないこと。人格も被害者と加害者の関係性も違うので、正解と言える対処法がない。また警察の対応もまちまちだ。厳しく対応しているところもあれば、民事不介入とばかりに逃げ腰のところもある。さらに、いったん収まったかに見える加害者の怒りや憎しみが、いつ何時牙を向いて襲って来るか分からないので、長期間にわたる緊張で、被害者のほうが精神的にボロボロになるケースも多い。同書では、具体的な対策や警察以外の民間相談所のこと、加害者をカウンセリングする必要性を説く。誰もが当事者になりうる問題だが、その闇は深い。

野球解説者・工藤公康氏が「成長し続ける極意」を語る新刊『孤独を怖れない力』

2014.05.11 Vol.617

 名選手、必ずしも名監督にあらず」とはスポーツ界ではよく言われる言葉だ。同様に、名選手が引退後に解説者、評論家として必ずしも成功するとも限らない。名選手と呼ばれるような人は、戦術といったややこしいことを、その天賦の才能で超越した現役生活を送ってしまうからなのだろう。

 前振りが長くなってしまったが、今回紹介する『孤独を怖れない力』を発表した工藤公康氏は名選手でありながら名解説者であるということに異論を唱える人はまずいないだろう。

 工藤氏は2011年に48歳で引退。実に29年もの長きにわたりプロ野球のマウンドにたち続け224勝をあげた。その個人記録もさることながら、西武ライオンズで8度の日本一、FA移籍したダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)、読売ジャイアンツでも日本一に貢献するなど“優勝請負人”ともいわれた。特に当時下位に低迷していたホークスでは自ら嫌われ役になりながらも選手たちの意識改革を行い、常勝チームに育て上げた。

 現在は評論家の他に筑波大学大学院で「外科系スポーツ医学」を勉強中。常に学ぶ姿勢を忘れない。
 そんな工藤氏が月刊誌『BIG tomorrow』に連載されたコラム『人生、一球入魂』を新たな書き下ろしも加えて書籍化した。

 本書ではその現役生活を振り返り、個人もチームも成長し、結果を残し続けるための極意が綴られている。
 48歳まで現役を続けるためには信じられないほどの肉体のトレーニングと強靭な精神力が必要。工藤氏はその現役生活の中でさまざまな経験をし、人と出会い、そのつど野球人として、社会人として大事ななにかに気づいていく。

 いわゆる“自己啓発書”のジャンルになるのだが、実例というか行動が伴いすぎているだけに、その説得力たるや、他の追随を許さない。

『BIG tomorrow』は男性ビジネスマン向けの雑誌なので、女性は手に取りにくい。このコラムの存在を知っていた女性も少ないと思われるが、せっかく書籍化されたので、女性にも読んでもらいたい一冊。

ポテトサラダがおいしい店は何を食べてもウマイのだ!

2014.04.26 Vol.616

 家庭の味として大人から子どもまで人気のポテトサラダ。一見シンプルな料理かと思いきや意外とこだわりが多く、ポテサラだけのレシピ本もあるほど。居酒屋やバーに行って、そこにポテサラがあれば必ず頼むという人も多いのでは。

 監修のマッキー牧元は、音楽制作会社在職中から食べ歩きを始め、現在はフリーランスの「タベアルキスト」として、多数のグルメ雑誌で執筆をしている根っからの食いしん坊。そんなマッキー牧元がポテサラを愛するあまり「ポテトサラダ学会」を設立。同書では、会長である彼とポテサラを愛する各界の著名人が厳選したポテサラがおいしい名店36軒を紹介。各店のポテトサラダが、どんな酒に合うか、隠し味は何か、ポテサラに投入している具材は何かなど、細かくリポート。そのほか、掲載されている店の秘伝のレシピ公開、ポテサラの脇役カタログ、世界のいも料理などのコラムも充実。巻末にはポテサラスペックから逆引きできる、ポテサラ酒場便利帖も。

 場所でも予算でもジャンルでもなく、あくまでポテサラメインで店を選べる、ポテサラファンには必携の一冊。

印象派と琳派が分かれば絵画が分かる!
東京の名画散歩「絵の見方・美術館の巡り方」

2014.04.12 Vol.615

 ときどき美術館デートをするけど実は“絵画の見方”が分からない…。美術ソムリエ・岩佐倫太郎が、そんなあなたのために“美術鑑賞のコツ”をレクチャー。それはズバリ、まずは“琳派”と“印象派”を知ること。本書では、まずはその2つを自分の鑑賞テーマとして鑑賞眼の“スタンダード”を作るという方法を、日本の美術館で見ることができる名画の数々とともに紹介する。国立西洋美術館や東京国立博物館といった東京の有名美術館から、ブリヂストン美術館や出光美術館といった“琳派”と“印象派”を知る上では欠かせない美術館まで “ここではコレを見るべし”といったポイントを分かりやすく伝えながら見どころを解説。

 本書を読めば、自分の鑑賞体験がより充実することはもちろん、トリビアを一緒に行った相手に披露する楽しみも味わえるはず。「絵の鑑賞のコツはワインの舌を養うのにも似ている」と著者。上手にコツをつかんで、美術鑑賞をより楽しく有意義なものにしてみては。

何百年も続く呪いの果てに…。奇跡のミステリーここに完結!!

2014.03.30 Vol.614

 累計36万部のヒットとなった「長い腕」シリーズ完結編。家の歪みが末代まで祟り、最先端のネット社会にまで影響を及ぼす『長い腕』、かごめ唄に隠された謎と呪いが現代によみがえる『呪い唄』。そして今回、曼珠沙華=弔い花が手向けられたのは一体誰なのか? 江戸の末期に四国の早瀬村で宮大工をしていた喜助は、あることをきっかけに村の者たちから壮絶ないじめを受け、一家心中に見せかけ殺されてしまう。その中で唯一生き残った幼い息子は成長し、やがて名棟梁として名を馳せる。彼は晩年、故郷の早瀬村に戻り、復讐のために密かに呪いを張り巡らせるのだが…。そして現代。早瀬村の旧家で、東屋敷の一人娘が殺害されるという事件が起きた。それは喜助の息子による呪いの罠なのか? またそこから発生するネットを中心とした暴動なども、時を超え巧妙に張り巡らされた呪いの連鎖なのか?

タクシー運転手が語る波乱の人生

2014.03.30 Vol.614

 最近、いくつもの書評で取り上げられ話題の『東京タクシードライバー』は、さまざまな事情でタクシードライバーになった13人の人生を聞き書きしたノンフィクション。著者はなぜタクシードライバーの人生にひかれたのか。
「ある晩、バブル崩壊で取引先が倒産した煽りを受けて、経営していた会社が潰れてしまったというドライバーさんのタクシーに乗ったんです。降りる時になって、元社長というドライバーさんが1冊の大学ノートを取り出して、見てくれないかと言ってきました。そのノートにはお客さんを乗せた場所、時間、運賃、そして職業まで細かく書いてあって、これを分析して効率よく稼いでいるから営業所でトップの成績なんだと言うのです。自分はタクシーの運転手になっても、ナンバーワンなんだと。聞いていてなんだか切なくなりましたが、同時に、こういうストーリーを持ったドライバーさんが他にもたくさんいるのではないかと思い取材を始めました」
 元社長、元俳優、元外資系企業の営業マン、夫が専業主夫をやっている女性ドライバーなど、どのストーリーも小説よりずっとずっと波乱に満ちている。
「そうなんです。1話目の“奈落”は妻の浮気が原因でホームレスになり、新聞の勧誘員やソープランドの呼び込みなどさまざまな職業を転々としながら地獄のような日々を送り、そこから必死で這い上がってきた人の話です。そんなかなりヘビーな話などを、1話完結の読み物として面白く読んでもらえるようにしました」
 前向きになれた、元気が出たなど、ポジティブな感想が多いとか。
「苦労しながら頑張って生きているドライバーさんたちの姿に勇気づけられたと言ってくださる読者さんもいます。取材を通して感じたのは、ドライバーさんにはとても人間的な人が多いということ。ひとりひとりのドライバーさんの人間性の素晴らしさが、読んでくださった方に伝わっているのかもしれません」

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