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3年ぶり待望の再演 青年団国際演劇交流プロジェクト2016『愛のおわり』

2016.12.11 Vol.680

 平田オリザが芸術監督を務めるこまばアゴラ劇場とフランスの劇作家・演出家パスカル・ランベールが芸術監督を務めるジュヌヴィリエ国立演劇センターは2007年にランベールの『愛のはじまり』日本版を上演以来、緊密な交流を続けている。

 今回上演する『愛のおわり』は2011年のアヴィニヨン演劇祭で大ヒットし、2012年のフランス劇文学賞大賞、2013年のフランス演劇賞の主演女優賞および戯曲賞を受賞するなど、大きな話題を集めた作品。

 フランス国内外で、各言語バージョンも含め多く上演され、日本では2013年に初演された。

 その日本初演から今回は平田が積極的に台本作成や演出に関与。「日本版」ともいえる『愛のおわり』が完成した。

 キャストも初演同様、兵頭公美と太田宏。

 物語は男優と女優が稽古場で別れ話をするというものなのだが「なぜ2人は別れたほうがいいか」ということを前半は男が一方的に、後半はその逆に女が一方的に語っていく。

 初演時は見る者のそのとき置かれていた状況やメンタルによってずいぶんと感想や印象が違うとされた。続けて見た人に改めて感想を聞いてみるのも面白そうな作品だ。

【日時】12月22日(木)?28日(水)(開演は月火木19時、水金土日14時。開場は開演20分前。当日券は開演40分前)【会場】こまばアゴラ劇場(駒場東大前)【料金】日時指定・全席自由席・整理番号付 前売・予約・当日ともに一般3000円、学生2000円【問い合わせ】青年団(TEL:03-3469-9107=12?20時 [HP] http://www.seinendan.org/ )【作】パスカル・ランベール【翻訳】平野暁人【日本語監修】平田オリザ【共同演出】パスカル・ランベール、平田オリザ【出演】兵藤公美、太田宏

アグレッシブな10周年を締めくくる新作公演 柿喰う客『虚仮威』

2016.12.11 Vol.680

 2016年の今年、結成10周年だった柿喰う客は「10万人動員宣言」を掲げ、動画・戯曲の無料配信、学生劇団への支援などを行ってきた。

 また劇団主催の演劇フェスティバル「柿喰う客フェスティバル2016」の始動、十八番ともいえる「女体シェイクスピアシリーズ」のリニューアルなど、劇団はもとより、演劇文化の発展という目的で一貫して攻めの姿勢で活動を続けてきた。

 なかでも「柿喰う客フェスティバル2016」は6月に王子小劇場を約1カ月借り切り、5作品をリバイバル上演するという破天荒な試みだった。

 今回の公演はその10周年を締めくくるべく、メンバー総出演の新作本公演。昨秋に募集した新メンバーもここでそろい踏み。来年からの次の10年に向けて新たなスタートとなる。

 毎公演後には演出家や出演者などによるアフタートーク。大晦日の夜は終演後に「年越新春イベント」を開催する。

【日時】12月28日(水)?2017年1月9日(月)(開演は28・5・6日19時、29・3日14時/18時、30・4・7?9日14時、31日16時/21時。1・2日休演。開場は開演30分前。受付開始は開演1時間前)【会場】本多劇場(下北沢)【料金】極楽席6800円(特典付き)、一般4800円、学生2800円、高校生以下1800円(学生、高校生以下は枚数限定。チケットぴあのみの取り扱い。当日受付にて座席指定券と引換。要学生証)/なかよし一般3800円、なかよし学生2000円、なかよし高校生1500円(なかよし割は、同一券種同一日時で3人以上での購入に限る。チケットぴあのみ取り扱い。当日受付にて座席指定券と引換)【問い合わせ】ゴーチ・ブラザーズ(TEL:03-6809-7125=平日10?18時 [劇団HP] http://kaki-kuu-kyaku.com/ )【作・演出】中屋敷法仁【出演】七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、牧田哲也、加藤ひろたか、原田理央、田中穂先、長尾友里花、福井夏

そうそう見られない顔合わせ『どどめ雪』月影番外地 その5

2016.11.27 Vol.679

『劇団☆新感線』の女優、高田聖子が1995年に劇団公演とは違った新しい試みに挑戦しようということで『月影十番勝負』というユニットを立ち上げた。

 気鋭の作家、演出家、俳優に文字通り“勝負”を挑み続け、年1回のペースで作品を発表していたが、その間、高田は舞台、映画、ドラマにと引っ張りだこに。結局、12年をかけ2006年にめでたく10本目が終了。

 しかし「やっぱりまだ続けたい!!」という高田やスタッフの思いとファンからの「まだまだ見たい」という声もあり、2008年に復活したのがこの『月影番外地』。本作は2年ぶりの新作公演。今回もここ2回に引き続き、脚本・福原光則、演出・木野花というここでしか見られないゴールデンコンビが実現した。

 物語は谷崎潤一郎の「細雪」をかすかな下敷きとして、北関東の地方都市を舞台とした四姉妹のお話。誰よりもたくましく下世話な四姉妹でありながら、無自覚に「大きなもの」にだまされ搾取され敗れていく様を通して、「呆然と生きるなよ」という警告を笑いの中に忍ばせて送る。

 その四姉妹に高田聖子、峯村リエ、内田慈、藤田記子。福原×木野もそうだが、この四姉妹もなかなかよそでは実現しない貴重な顔合わせ。

月影番外地 その5『どどめ雪』
【日時】12月3日(土)?12日(月)(開演は3・5・7・9日19時、4・10日13時/18時、6・8日14時/19時、11日13時、12日14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】ザ・スズナリ(下北沢)【料金】全席指定5500円(前売り/当日共)【問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337 [HP] http://sunrisetokyo.com/ )【作】福原充則【演出】木野花【出演】高田聖子、峯村リエ、内田慈、藤田記子、田村健太郎、利重剛

個性あふれるラインアップが楽しい最近の公共劇場 東京芸術祭2016 芸劇オータムセレクション『三代目、りちゃあど』

2016.11.13 Vol.678

 東京芸術劇場は2012年のリニューアル以降、海外の劇場やアーティストとの交流を積極的に行っている。本作はそんな国際共同制作の第3弾。

 同劇場の芸術監督を務める野田秀樹が1990年に自らが主宰する「夢の遊眠社」に書き下ろした『三代目、りちゃあど』をアジアを代表する演出家であるシンガポールのオン・ケンセンが演出。シンガポール国際芸術祭、SPAC?静岡県舞台芸術センターとの国際共同制作により上演する。

 この『三代目、りちゃあど』はシェイクスピアはなぜリチャード三世やヴェニスの商人を徹底的に悪人として描いたのか?という疑問から生まれた作品。舞台は法廷。被告は「りちゃあど」、その弁護人に「シャイロク」、検事は「シェイクスピア」という突拍子もない設定のもと、作家と登場人物の確執を描く。

 キャストは日本、シンガポール、インドネシアから集結。日本の俳優陣だけ見ても歌舞伎、狂言、宝塚出身、小劇場出身と多彩過ぎる顔ぶれ。この個性あふれる面々をオン・ケンセンがどうまとめあげるのかにも注目。

東京芸術祭2016 芸劇オータムセレクション『三代目、りちゃあど』
【日時】11月26日(土)?12月4日(日)(開演は26日18時、27・3日13時/18時、29・1日14時/19時、30・2日19時、4日13時。28日休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】東京芸術劇場 シアターウエスト(池袋)【料金】全席指定 一般5500円、65歳以上5000円、25歳以下3000円、高校生割引1000円(65歳以上、25歳以下、高校生割引チケットは東京芸術劇場ボックスオフィスにて一般発売日より前売りのみ取扱い。枚数限定・入場時要証明書)【問い合わせ】東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296=休館日を除く10?19時 [HP] http://www.geigeki.jp/ )【作】野田秀樹〈ウィリアム・シェイクスピア「リチャード三世」(小田島雄志訳)より〉【演出】オン・ケンセン(シンガポール国際芸術祭芸術監督)【出演】中村壱太郎、茂山童司、ジャニス・コー、ヤヤン・C・ヌール、イ・カデック・ブディ・スティアワン、たきいみき、江本純子、久世星佳

個性あふれるラインアップが楽しい最近の公共劇場 世田谷パブリックシアター+KERA・MAP #007『キネマと恋人』

2016.11.13 Vol.678

 国内外を問わず、また古典か新作かなどということにもとらわれず幅広い主催公演のラインアップを展開している世田谷パブリックシアター。

 今回初めてケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)を迎え、新作『キネマと恋人』をシアタートラムで上演する。

 本作はKERAが敬愛する映画監督、ウディ・アレンの映画『カイロの紫のバラ』にインスパイアされた作品。同作は映画館に通うことがささやかな楽しみの主婦が映画を見ていると、登場人物が突然語りかけ、さらにスクリーンから現実の世界に抜け出てしまい、映画館や映画業界を巻き込んだ大騒動が巻き起こるというファンタジックなお話。

 舞台では時代は映画同様に1930年代、設定を日本の架空の港町に置き換え、銀幕の俳優への女性の淡い恋心をめぐる騒動を描くロマンチックコメディーに仕立て上げる。

 銀幕の俳優を演じる妻夫木聡は初めてのKERA作品への出演。野田秀樹作品への立て続けの出演で、舞台俳優としても着実に成長を続ける妻夫木。今度はKERAのもとでどんな姿を見せてくれるのか。

世田谷パブリックシアター+KERA・MAP #007『キネマと恋人』
【日時】11月15日(火)?12月4日(日)(開演は月14時/19時、火水木金19時、土13時/18時、日13時。※16日(水)は14時の回あり。23日(水)は14時開演。1日(木)は14時の回あり。17・22・29日休演。開場は開演30分前)【会場】シアタートラム(三軒茶屋)【料金】全席指定 一般 7200円、プレビュー(15?16日)6700円/高校生以下 一般 3600円、プレビュー 3350円(世田谷パブリックシアターチケットセンター窓口&電話予約のみ取扱い、年齢確認できるものを要提示)/U24 一般 3600円、プレビュー 3350円( http://setagaya-pt.jp/tickets/howtobuy/u24.html 参照) 当日券あり【問い合わせ】世田谷パブリックシアターチケットセンター(TEL:03-5432-1515 [HP] https://setagaya-pt.jp/ )【台本・演出】 ケラリーノ・サンドロヴィッチ【出演】妻夫木聡、緒川たまき、ともさかりえ、三上市朗、佐藤誓、橋本淳、尾方宣久、廣川三憲、村岡希美、崎山莉奈、王下貴司、仁科幸、北川結、片山敦郎

人気シリーズの第3弾『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』

2016.10.23 Vol.677

 劇作家・演出家の前川知大と世田谷パブリックシアターによる『奇ッ怪』シリーズの第3弾。

 このシリーズは古典を現代の感覚で読み解こうという狙いのもと生まれたもので、1作目では小泉八雲の怪談を材に取り、「古典の怪談」を現代に置き換え、世田谷パブリックシアターの「現代能楽集シリーズ」のひとつとして上演された2作目では、死者が生者に語るという夢幻能の形式に狂言のユーモアを併せた作品を作り上げた。

 ちなみにこの2作目の『奇ッ怪 其ノ弐』で前川は第19回読売演劇大賞の大賞と最優秀演出家賞を受賞している。

 今回は民俗学者・柳田国男の「遠野物語」がベース。柳田国男はなぜ「伝承」を「事実」として書き記したのか??遠野物語を語りつつ、遠野物語を解明しようとする者たちの姿を描く。

『奇ッ怪』シリーズには欠かせない存在である仲村トオルが今回も核となる役を演じる。

 頭に「前川知大と世田谷パブリックシアターによる」と書いたが、そこに仲村の名前も並べなければいけないほど、このシリーズにはなくてはならない存在だ。

あの男たちが12年の時を経て帰ってきた 阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』

2016.10.22 Vol.677

 長塚圭史が主宰を務める「阿佐ヶ谷スパイダース」が今年で結成20周年を迎えた。

 2009年の英国留学以降、長塚が外部のプロデュース公演を手掛けることが多くなり、また葛河思潮社という別のユニットを立ち上げ頻繁に公演を行っていたこともあったことから、阿佐ヶ谷スパイダースとしては3年ぶりの公演となる。

 その英国留学を経て、長塚の作風が少々変わったこともあり、古いファンの中からは「たまには昔の作風のものも見たい」という声がかねてから上がっていた。そんな声に応えたのかどうかは分からないが、再演の声が最も高かった『はたらくおとこ』を今回再演することとなった。

 初演は2004年。あれから12年経ったが、当時出演した8人の男たちがそっくりそのまま集まった。もっと言うと、印象的だった音響さんも一緒。物語も脚本を少々書き直した部分もあるが、基本的には一緒。

 12年前をなぞるものになっても、あの時の面白さは色あせないだろうし、12年経った分の変化がコクとか味とか、俳優によってはアクとなって乗っかってくればそれはそれで刺激に満ちた作品になるだろうし。

 どっちに転ぶにしても見応えのある作品。

くだらなさをとことん追求 ジョンソン&ジャクソン『夜にて』

2016.10.10 Vol.676

 大倉孝二が「ただ、ふざけた芝居をしたい」という思いから仲間を集い、“ナイロン100℃ Side SESSION”として2012年に『持ち主、登場』を上演。この「ジョンソン&ジャクソン」はそこを原点とする大倉とブルー&スカイによる演劇の試み。2014年にユニット化。その徹底的にくだらなさを追求する姿勢はバカバカしさを越え、感動すら覚えるほど。

 今回は2年ぶりとなる新作公演。

 とある町を舞台に、救い難い人間たちが起こす、救い難い出来事を、救い難いキャストによって、救い難いサスペンスコメディーに仕上げる予定。

 ヒロイン役の佐津川愛美は8月に『娼年』というシリアスな作品に出たばかり。この短期間に180度違う作品への出演でファンもびっくり? 大倉とブルー&スカイが尊敬する大堀こういち、佐藤真弓、新進気鋭の劇団・ナカゴーの主宰、鎌田順也、所属するナイロン100℃以外にも多くの作品に客演し、コメディエンヌとして確かな実力を見せつける菊池明明ら、キャストを見ただけでニヤリとしてしまう作品だ。

独自の演出で魅せる 東京芸術祭2016 芸劇オータムセレクション『かもめ』

2016.10.10 Vol.676

 東京2020オリンピック・パラリンピックはもとより、その先も見据え、芸術文化を通して世界へ東京の魅力を発信すべく、9月から開催されている「東京芸術祭」。今秋は舞台芸術フェスティバルを豊島区池袋エリアを中心に展開しているのだが、その中核となる東京芸術劇場は「芸劇オータムセレクション」という企画でさまざまな作品を上演する。

 この『かもめ』もその一環として上演されるもの。

 演出は西洋の古典を多く手掛けてきた熊林弘高。『かもめ』を演出するのは2回目で、前回同様、現実のかもめを出さないなど独自の演出で魅せてくれるようだ。

 物語は田舎の別荘で繰り広げられる芸術家やそれを取り巻く人々の複雑な人間模様を描いた群像劇。

 中心となる若い女優ニーナ役に満島ひかり、ニーナの愛をもてあそぶ小説家トリゴーリンに田中圭、劇作家を目指す青年トレープレフに坂口健太郎、トレープレフに片想いをする女マーシャに中嶋朋子、大女優アルカージナに佐藤オリエと若手からベテランまで多彩な顔ぶれがそろった。

ありえない設定のあり得る物語 MU『狂犬百景』

2016.09.25 Vol.675

 今年で17年目を迎える三鷹市芸術文化センターの名物企画「Mitaka“Next”Selection」。将来性に満ちた若手劇団を招へいし上演するもので、多くの劇団の飛躍のきっかけとなり、また後に岸田戯曲賞を受賞する劇作家も多く現れている。

 今年の第2弾となるのがMU。本作は2014年に初演され、観劇したこの企画の担当者が招へいを決めた作品。それを改訂し再演する。

 脚本・演出のハセガワアユムが描く作品は「ありえない設定のあり得る物語」。

 本作は狂犬が街にあふれ、人間たちが一歩も外に出られなくなった東京が舞台。そこで描かれるのは、まるでゾンビの如く溢れる狂犬たちに追われ、屋内に逃げ込んだ人間たちが手に入れた、全く新しい風景。そしてそれでもなお「犬より人間のほうが優位である」という無意識が産み出す、恐怖と罪と葛藤と笑いが展開される。

 ゾンビ映画に愛情とオマージュを捧げつつも、一線を画して描く4つの短編連作からなる大長編。

MU『狂犬百景』

【日時】10月1日(土)?10日(月・祝)(開演は1日19時、2・6・9・10日14時、4・5・7日19時30分、8日14時/19時。3日休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹)【料金】全席自由席・日時指定・入場整理番号付 一般 前売3000円、当日3300円/学生2000円、高校生以下1000円(前売・当日とも。当日学生証提示) ※早期観劇割引(1・2・4日)、平日マチネ割引(6日)は一般のみ各300円引き。【問い合わせ】三鷹市芸術文化センター(TEL:0422-47-5122 [劇団HP] http://www.mu-web.net/ )【脚本・演出】ハセガワアユム【出演】古屋敷悠(MU)、青木友哉、井神沙恵、真嶋一歌(リジッター企画)、沈ゆうこ(アガリスクエンターテイメント)、佐野功、佐々木なふみ、古市みみ、植田祥平、大塚尚吾、青山祥子、山崎カズユキ(ECHOES)、森久憲生(TANGRAM)、菅山 望、森口美香、加藤なぎさ、浜野隆之(下井草演劇研究舎)、成川知也、星秀美(レティクル東京座)、NPO法人(ポップンマッシュルームチキン野郎)、長尾友里花(柿喰う客)、黒岩三佳(キリンバズウカ)

向井理が3年ぶりの舞台出演 パルコ・プロデュース『星回帰線』

2016.09.25 Vol.675

 今春、自ら率いるモダンスイマーズの『嗚呼いま、だから愛。』、休館前のパルコ劇場の最後の作品となった『母と惑星について、および自転する女たちの記録』と新作の書き下ろしが続く蓬莱竜太はいま劇作家として最も脂が乗っている状態。

 そんな蓬莱の今年3本目の書き下ろしとなる最新作は、ちょっとした思い違いや感情のすれ違い。嫉妬とはかない願望が交錯し徐々に崩れていく人間関係を濃密な会話劇で描いていく。

 かつての恩人に呼ばれ、地方にある恩人の家を訪ねる三島。そこには天体を観測しながら、自給自足の生活を営む生活があった。三島はそこが楽園に思えた。その中に溶け込み受け入れられる三島。しかし、そのことで施設の代表である恩人からの嫉妬を受けることになる。次第にそのひずみは顕著となり、施設に集まるそれぞれの人間関係を複雑にしていく。三島はいつの間にか、かつての恩人と対立することになっていく…。

 主人公の三島を演じる向井理は3年ぶりの舞台出演。かねてから蓬莱作品への出演を熱望していたという。

パルコ・プロデュース『星回帰線』
【日時】10月2日(日)?30日(日)(開演は月14時、火木金19時、水土14時/19時、日14時。※2日(日)は15時開演。3・11・17・24日休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】東京芸術劇場 シアターウエスト(池袋)【料金】全席指定 7500円、U-25チケット4000円(観劇時25歳以下対象・当日指定席券引換・要身分証明書)※U-25チケットは、チケットぴあ・前売り販売のみの取り扱い/プレビュー公演(1日19時)4000円【問い合わせ】パルコステージ・インフォメーション(TEL:03-3477-5858[HP] http://www.parco-play.com/ )【作・演出】蓬莱竜太【出演】向井理、奥貫薫、野波麻帆、高橋努、岩瀬亮、生越千晴/平田満

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